2011年 10月 06日
ヨーロッパムナグロ
拙著「シギチ・ドリ類ハンドブック」に日本未記録種として掲載した、ヨーロッパムナグロ Eurasian Golden Plover Pluvialis apricaria が先日沖縄で記録された。ムナグロとの比較画像、及び最大の特徴である白い翼下面も鮮明に撮られているので、次回改訂の機会が来れば当然ながら国内記録種として扱う予定。

ところで私の感覚ではヨーロッパムナグロとアメリカムナグロはかなりかけ離れた鳥なので、今回の個体が当初アメリカムナグロと識別されていたことについては随分と不可解に感じられた。翼下面の画像が撮られる以前に、大きさの情報もない数枚の画像を見た段階でも、私としては少なくともアメリカムナグロでないことは一目瞭然だったし、後に出てきたムナグロとの比較画像に見られるサイズの巨大さも考えればなおさら「なぜこれが?」という印象を強く受けたのが正直なところだ。ただ、おそらく今回の個体はヨーロッパムナグロとしては黄色味の乏しい個体であったことや、最長三列風切からの初列風切の露出枚数(primary projection)が4枚で両種に共通していること、そして何よりも国内未記録であることも手伝ってなかなかヨーロッパムナグロという方向には話が進みづらかった面は確かにあるかもしれない。またあるいは今回は羽毛を寝かせて頸を伸ばした状態で採餌していることが多くて、海外の画像等でよく見られるダルマのようにまん丸なイメージとは多少異なって見えた可能性もあるかもしれない。

というわけでいずれ「シギチ・ドリ類ハンドブック」改訂の機会があれば、今回の記録やその経緯から読み取れた要素はできる範囲で盛り込んでより完成度の高い内容にできたらと思っている。ただし通常出版物というのは現行の版の在庫がある程度はけない限り改訂の話はなかなか進まないのが現実なので、早い時期の改訂をご期待の方はできるだけ現行の初版第3刷をまずは買ってください。(笑)

a0044783_15251689.jpg
▲画像は今年8月に撮ったムナグロPluvialis fluva2羽。神奈川県内では数年前までムナグロが群れていた某休耕田が壊滅し、今年は行き場を失ったかのようなわずかな個体が上空を鳴きながら飛んでいくのを何度か目にして暗澹たる気分にさせられた。残念だが今後もこちらでのムナグロ類の観察についてはあまり明るい見通しは立ちそうにないのが現状だ。
[PR]
by Ujimichi | 2011-10-06 16:03 | シギチ


<< Wanted 山で秋 >>