2012年 06月 11日
転石
ネタがないので5月14日の画像からキョウジョシギ。上下は別個体。どちらも雨覆の赤褐色の羽は色・パターンから明らかに夏羽だが、同日撮影の両個体間でも摩耗度合に大きな差があることがわかる。上の個体は冬羽が残っていることからすると下より換羽の遅い個体で、そのために摩耗が進んでいない可能性が考えられる。これに対し下の個体は早期に夏羽に換羽したために生えてからより時間が経過していて、結果として摩耗が進んでいる可能性が考えられる。またあるいは健康状態や日常行動、何らかの外的要因等により摩耗度合に差が出る可能性も考えられる。上の個体の冬羽部分より下の個体の夏羽部分の方がむしろ摩耗が激しい点もちょっと面白い。この場合はキョウジョシギだから擦れていても羽色から夏羽と判断できるが、これがもし夏・冬・幼の羽色の差の乏しい種(例えばキアシシギやチュウシャクシギなど)であれば擦れた羽=幼羽と誤って判断されてしまう可能性は高い。

a0044783_84620.jpg
キョウジョシギ Arenaria interpres

前にハマシギの件でも触れたが、春のシギチに関して、「摩耗した羽は幼羽、だからその個体は第1回夏羽」と割と簡単に決めてしまう風潮があるのは以前から少々気になっているところ。換羽の時系列から考えると、主にこの論法が有効なのは1個体に冬羽と同時にさらに明確に擦れた羽(=幼羽)がある場合だと思うが、実際は幼羽だろうが冬羽だろうが夏羽だろうが、それが「羽」である以上、換羽から一定の時間が経過すれば摩耗は起こること、またその進み方にもかなりの個体差があることは念頭に置く必要がある。基本的に秋の幼羽と成鳥は明確に識別できるが、時期が進み成鳥に近づくにつれて判断が難しくなるのは考えれば当たり前のこと。年齢識別についてはもちろん常にチャレンジ精神は持ちつつも、一方であまり無理をしないのも大事なことだろうと思う。
[PR]
by Ujimichi | 2012-06-11 08:12 | シギチ


<< 無題 赤いロープ >>