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2013年 01月 18日
メジロガモ×ホシハジロ
画像は1990年代初頭に上野不忍池で見つけたメジロガモ×ホシハジロの雑種雄。当時メジロガモは国内では1969年千葉県新浜の一例しか記録のない大珍鳥。この赤い胸と三角頭が目に入った時、これは大変なものを見つけてしまったと一瞬だけ思ったのだが、少し落ちついて見ると体が虫食い斑に覆われて灰色だし、嘴の黒斑も広く、ほどなくホシハジロとの雑種だという結論に落ち着いた。虹彩は白目が充血したように周囲が赤く、これもちょうど中間の特徴。ちょっとがっかりはしたものの、大珍鳥メジロガモが“半分”だけ見られた―という雑種独特の変な面白さを味わえた思い出深い瞬間でもあった。

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メジロガモ×ホシハジロ ♂  Ferruginous Duck x Common Porchard hybrid

ところで瓢湖でこの冬観察されているメジロガモに似た雌の雑種が、今日付けの読売新聞にメジロガモとして掲載されたようで、なんでもこの個体を目撃した人には瓢湖管理事務所が「発見証」を発行しているとか。この個体は現在日本の図鑑だけで単純に消去法的に識別すると、メジロガモという結論になってしまうのもある程度は仕方ないかとも思うが、しかし海外の図鑑やウェブサイトなども含めて検討すればホシハジロの関係した雑種であることは容易にわかると思う。上の雄個体と同様に嘴の黒色部が横に長く広がっている(上から見るとU字型に見える)ことと、体上面と脇が虫食い斑に覆われ灰色に見えることの2点は明らかにホシハジロの特徴が出ている。なおアカハジロ×ホシハジロでも酷似する場合があるが、嘴が小ぶりに感じられることや、他サイトの画像も見ると雌にもかかわらず頭に赤味があることからやはりメジロガモ×ホシハジロと見るのが妥当と思う。

※海外で撮影されたよく似た雑種雌がこちらにも掲載されている。
http://www.pbase.com/ingotkfr/ferruginous_duck_x_common_pochard

※メジロガモ雌はこんな感じ
http://www.pbase.com/image/147638318
体に虫食い斑は見られず、脇は褐色、体上面は黒褐色で一様に見える。嘴先端の黒色は雄よりは横に広がる傾向があるが、それでも瓢湖の個体ほどは明瞭に長く伸びず、輪郭も不明瞭な傾向がある。
by Ujimichi | 2013-01-18 20:52 | カモ


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