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2013年 05月 26日
営巣撮影
画像は昨日撮影のクロスジギンヤンマ。

営巣撮影_a0044783_20414025.jpgここで季節柄、たまには鳥の営巣撮影について、以前から思うところを少し書いてみようと思う。

一般に鳥の巣というと、人目を避けて目立たない場所に造られるイメージもあるが、実際にはわざわざ人通りの多い道沿いの木を選んだかのように造られるケースも意外に多い。近年はこれが多くのカメラマンを呼び寄せる結果になることが多いが、しかしこういった場合の親鳥は、確かに人間をカラス等の外敵除けとして利用している可能性は大いにある。一番わかりやすい例でいうと、ツバメがわざわざ人の多い駅舎や商店街を選んで巣を作るのも、ちょっと他に理由が思い当たらない。

ただ、ここで我々観察者や撮影者が重々注意すべきだと思うのは、こうしてあえて人間を利用していると思われる親鳥たちでさえ、当初は「無関心に通り過ぎていく人々」を見て営巣場所を決定した可能性が高いということ。何十人ものカメラマンに一日中張り付かれるとか、その中には無思慮に距離を縮める者も出てくるという事態まではさすがに想定していないだろう。したがって「彼らは人間を利用しているのだから好き勝手に撮影させろ」というのはさすがに都合がよすぎる解釈。最悪営巣放棄とか、エサが十分に運べず雛が衰弱死するといった危険性をやはり考えなければならない。また、「カラスがカメラマンの動向を見ていて巣の存在に気付く」という可能性については、果たしてどこまで実証されているのかは私はよく知らないが、少なくとも「あり得る話」として留意する価値くらいは十分あるのではないかと今のところは思っている。

まあもちろんだからといって、繁殖活動を見ることや撮ることを感情的かつ一律にタブー視するような稀に聞かれる言い方も確かに少し違うと思うし、よもやそれによって、どんな巣をつくり、どんな子育てをするのかすら誰も知ることができない時代になってしまうことが決していいとも思ってはいない。「あなたが他人に四六時中覗かれていたらどう思うか」みたいな例えもよく聞くが、その例えはむしろ人間同士だからこそのストレスという面が大きいのであって、鳥が人間という全く異種の生物に見られる・撮られるということにそのまんま置き換えるにはだいぶ無理があるし、人間の視線や挙動をどの程度意識するかは、種や個体や状況によって全く千差万別なのが実際のところなので、そうそう一概には言えないのも確かだろう。

しかしとはいうものの、昨今のカメラマンの爆発的増加や質の低下(-情報頼みで自分で鳥を観察していない・警戒していることがわからないなど)を思えば、一旦カメラマンが集まってしまえば、ロープが張られるなどしてある程度立ち入り範囲が制限されるくらいのことは、なるべくしてなる当前の結果。「立ち入り規制がかえって天敵の侵入を許すではないか」などと言う前に、そうした規制を招いているのは他ならぬカメラマン自身なのだという認識をせめて持つ必要があるように思う。

by Ujimichi | 2013-05-26 20:36 | いろいろ


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