2014年 03月 30日
写真図鑑のビロードキンクロ
最近出た「野鳥図鑑670」という本は私は短時間の立ち読みしかしていないので、今回は全体的なレビューではなく、特に気になったビロードキンクロに絞って少し書いてみたい。既に気付いている方も多いと思うが、この本ではどういうわけかアラナミキンクロ雌の写真がビロードキンクロとして掲載されてしまっている。特に難しい鳥ではないので、単なる写真の取り違えかと思いたいところだが、実は以前からこの著者の方が同様の画像をネット上でも同じように間違えて載せているのを見ているので、やはり単なる写真の配置ミスではないようだ。

ビロードキンクロとアラナミキンクロは、もちろん雄同士はそれぞれとても特徴的で、初心者でも一度覚えれば識別は簡単。一方の雌同士も本当はいくつかのポイントを理解して見れば全く難しくないのだが、とはいえどちらも地味な黒褐色の鳥なので、初心者は迷うことも多いだろう。つまりこういうところでこそ正しい知識を提供するのが図鑑の大事な役割なのに、その図鑑が間違ってしまっているのは大変残念だ。ただアラナミキンクロに関しては、これまでの他の日本国内の図鑑も、後頸の白斑について解説に不備があるのは事実で、今回それもあっての誤認ではないかとは思うが、とはいえ雄と共通した独特の嘴基部側面の形状に注意すれば間違えることはない。また次列風切が少しでも見えればこれも決定的で、この掲載写真でも黒い次列風切が(小さくだが)見えている。もちろんこの2点は大型カモメによく見られるような、個体差やオーバーラップがあって難しいという類の特徴ではないので、もし著者がカモにあまり詳しくなかったとしても、海外の図鑑やウェブサイトを含めて少し広くリサーチするだけでも容易に解決した問題だろうと思う。

この本では他にオカヨシガモ雄をアカハシハジロ幼鳥と誤認している し、その他カモの雌雄・年齢等に関する間違いが非常に多い。またこれまでネット上でもこの著者の方が初心者の質問に対し、ホオジロ幼鳥をカワラヒワ、ウズラシギ幼鳥をアメリカウズラシギなど、大きく誤った回答をしているのを度々見てきている。私のように長く鳥に関わっている人間ならいざ知らず、初心者や一般人は図鑑に間違いがあるとは夢にも思わない人が多いし、名の知れた図鑑の著者の一言を鵜呑みにしてしまう傾向も強い。この辺りはもちろん私自身も重々気をつけなければいけないところだが、いずれにしても現在国内で市販されている図鑑の内容が実際どの程度の精度のものなのかというのは、やはり時には気付いた誰かが一般に広く知らせる必要はあるように感じている。

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ビロードキンクロ 
嘴基部側面の形状、および三列風切の下に僅かに覗いている白い次列風切に注意。


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by Ujimichi | 2014-03-30 18:37


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