2015年 02月 11日
クロワカモメ比較
2005年にカナダのナイアガラで撮ったクロワカモメ(左)と、今回ロサンゼルスで撮ったクロワカモメ(右)とを比べてみると、予想していた通りの興味深い結果となった。これらの左右の画像を、足の長さの印象の違いに注意して見比べていただきたい。どちらが足が長く(あるいは短く)見えるだろうか?

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クロワカモメLarus delawarensis

こう見るとよくわかるように、同じ種でも寒冷地で羽毛を膨らませて休んでいると脛が羽毛に隠れて足が短く見え、温暖な地で動き回っていると脛が裸出して足が長く見えるという、これまでも何度か書いた法則が顕著に表れている。踵関節が左側の画像では体に着いている、または埋もれているように見え、右側の画像では体から離れて見えることにも注目。これは羽毛の膨らみの問題だけではなく、通常外からは見えない膝関節のポジションもある程度影響しているように思う。加えて頭の羽毛の状態などから、嘴も寒冷地のほうが見かけ上相対的に小さく見えることが多い。少し調べてみたところ、ナイアガラの12月の平均最高気温は1.9℃、ロサンゼルスの1月の平均最高気温は18.7℃で、実に17℃近い気温差がある。体感的にはナイアガラは東京の真冬より寒く、ロサンゼルスは東京の初夏のような暖かさだった。

なおクロワカモメに亜種は認められておらず、Olsenの「Gulls」の地理的変異の項目にはNegligible(無視してよい、取るに足らない)という表現が使われていることからも、こうした印象の差はやはり主に気温や観察状況によるものと考えて差し支えないだろう。実際に観察した感触でも、そうした見かけの変化以上の地理的変異があるようには感じられなかった。

カモメ類の足の露出度合いは、あくまでも同条件で比べた場合にはある程度は種の識別の参考になることもある。例えばカナダカモメ→セグロカモメ→モンゴルセグロカモメ→カスピセグロカモメの順に露出が大きくなる傾向はあるように思うし、これらは寒冷地で繁殖する種ほど足の露出を少なくすることで体温を奪われることを防いでると考えると確かに辻褄が合う。しかし現実には、上述のような同種内での状況による変化の大きさについての考慮が不十分なまま識別の考察に使われたり、種の識別点のように過剰に強調して教えられるケースもあるので、特に初心者の方はその辺りにくれぐれも注意して様々な情報に接して頂きたいと思う。

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by Ujimichi | 2015-02-11 19:03 | カモメ


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