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2007年 02月 06日
典型的?
先日の銚子のモンゴルカモメはとてもわかりやすい個体だったが、ただ、ああいった個体ばかり取り上げていると、モンゴルカモメのイメージを必要以上に限定的に受け取られてしまうというところもある。そこでちょっと違う例を出してみる。

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上の画像は昨年12月9日に中国で撮影したもので、下段の画像の左右の個体は上の左右にそれぞれ対応している。左は顔から後頸まで細い斑がかなりあるが、初列風切は黒が7枚で、標準的なモンゴルカモメのパターンになっているという個体。右は頭の白さが際立っているが、こちらは逆に初列風切の黒は6枚しかない、という個体だ。ちなみに2羽とも比較的小柄な印象で嘴もあまり長くなく、♀の可能性が高いように感じた。ただし左の個体は今頃はもっと頭の斑が減っているかもしれない。

もし仮に、先日の銚子個体を“典型的なモンゴルカモメ”としてイメージした場合、この2羽はどちらも“今一つ特徴が揃っていない”という言い方にもなるかと思うのだが、でも、両方ともセグロカモメには見えないし、かといってホイグリン系というには換羽が随分早いし、頭の斑の質や嘴の黒斑、上面や脚の色、それに地理的条件も含め総合的に考えればやっぱりモンゴルはモンゴルなんだよな、という感じだった。これ以外にもさらにもっと頭の斑が多い個体や、セグロカモメの標準程度に換羽の遅い個体など、本当に色々いたが、やっぱりそれらも総合的に見ればモンゴルカモメと思える個体だったし、ここで見られた幼鳥もほとんどが一見してモンゴルカモメと判るような個体だった。他はホイグリン(系)は1wと成鳥各1羽づつと、オオセグロ風の成鳥(セグロXオオセグロ?)が1羽いたが、明らかにセグロカモメとわかる個体は結局見られなかった。

こんな感じで、カモメというのはあんまり狭い範囲の“典型的イメージ”に囚われすぎるとかえって正しく理解しにくくなるというところもある。もちろん典型から大きく離れた個体を無理に結論付ける必要はないが、ある程度幅を見て柔軟に考えた方が現実的ということは言える。初列風切のパターンにしても、先日の銚子個体のような「黒8枚個体」というのは、あくまで「セグロカモメとかけ離れていてよりわかりやすい」ということであって、実際はモンゴルカモメ全体の中でもむしろ少数派なのだ。
by ujimichi | 2007-02-06 07:59 | カモメ


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