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2007年 12月 18日
関東の4~5月のカモの記録
もういいかな(^^;とも思うのだが、なんだかエサやり防止キャンペーンを推進する東京都環境局の方が―

「餌付けがない地域で、4月に渡りのカモを見かけることがほとんどない。渡りが遅れる原因として安易な大量な餌付け以外考えられない。」

といまだにものすごいことを言っておられるような情報があるので、仕方なく再びフィールドノートから。よく知らないことを無理からでも答えなければいけない環境局の方もお気の毒だとは思うのだが、やはり一般に間違った知識を広められては困るので・・・。

餌付けが行われていない多摩川河口の5月11日と18日の記録 。

関東の4~5月のカモの記録_a0044783_22353830.jpg
1991.5.11 多摩川河口 コガモ♂1、♀3、オナガガモ♂1、スズガモ♂3+、♂1s2、♀4+ (合計14+)

関東の4~5月のカモの記録_a0044783_22433448.jpg
1991.5.18 多摩川河口  オナガガモ♂1、スズガモ、キンクロハジロ♂1 (合計3+)

5月半ばでこれだけいるだけでも十分なのだが、餌付けとは極めて縁の薄いコガモとスズガモが含まれていることにも注目してほしい。もちろん4月の記録となるとこれ以上に普通にあるのだが、たいてい数が記入してない。あまりに普通にいるので一々数えなかったのだろうと思う。環境局の方が随分4月、4月、と言っておられるところを見るとどうも5月には冬鳥のカモをあまり確認されていないようにも思えるが、だとすると不忍池のカモは極めて正常な渡りが行われているということになると思う。

私はこれでもさほどマメに記録をとっていない方なのだが、関東のバードウォッチャーなら多くの人がこの手の記録はざらにお持ちだろうと思う。ためしに、餌付けの行われていない葛西臨海公園の記録をネット上から探してみると、4月にマガモ、オナガガモ、コガモ、オカヨシガモ、ハシビロガモ、ヒドリガモ、スズガモ、といった名前は当然普通に出てくるし、ホシハジロが200羽以上とか、キンクロハジロが100羽以上などというのも出てきた。まあいずれも当たり前のことであり、このような基礎的な部分からして東京都環境局の主張はあまりにもお粗末なものだと言わざるを得ない。

また、渡りとは関係ないが、餌付けに関して前から思っていることがあったのでついでに書き留めておく。餌付けの行われているところのカモというのは、確かに食べている量も多そうに見えるものの、同時にエサの奪い合いで相当なカロリー消費をしているように見える。つまり、入る方を問題にするなら出る方も問題にしないとおかしいと思うのだが、この点に触れられることがないのはちょっと不思議だ。また、撒かれるエサが多ければ集まる数も増えるので、1羽1羽に行き渡るエサの量というのは実際どんなものだろう?とも思うのだが、この点にもあまり触れられることがないように思う。もちろん、だから餌付けに問題がないと言うつもりなど毛頭ないのだが、それにしても「餌付けは悪」という結論先にありきでその理由ばかり探すような見方は明らかに間違っている。

今回のキャンペーンで言われていることというのは、異常なまでに「カモが可哀想」という視点に偏っており、反面なぜかユリカモメだけは極端に悪者に仕立て上げられている。その方が世論を動かしやすいと考えたのかもしれないが、それにしても、役所がマスコミを使って稚拙な作り話をそれらしく流せば、世論などというものは一瞬にして塗り替えられてしまうのだということがよくわかった。私だってもしこれが全然知らない分野のニュースだったらあっさり騙されているのかも知れず、いかに情報というものが恐ろしいものか、ということをつくづく思い知らされた。都は「ほとんど飛べません!」その他数々の間違いを今からでも潔く認めて訂正して頂きたいと思う。
by ujimichi | 2007-12-18 22:25 | 餌やり規制問題について


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