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2009年 11月 22日
昨日撮影の神奈川県の公園の画像から(ウミウとは別の場所)。ここでは「一見カルガモ風個体」が5羽見られたが、それらはよく見れば明らかに怪しげな風貌で、いわゆる“マルガモ”の特徴を持っていた。しかし単にマガモとカルガモの中間という印象ではなく、体型などにアヒル的な印象が強い。うち1羽の羽色はカルガモにほぼそっくりだが、やはり体型などに他の個体と共通した印象があった。そしてやはりここでも大きなアオクビアヒルが1羽。純粋なカルガモと確信できる個体や、野生のマガモは観察できなかった。ここを訪れるのは2度目なので継続した観察はできていないが、以上の状況からはこれらの“マルガモ”タイプの個体はアオクビアヒルとカルガモの雑種、またはその子孫である可能性が高いと考えられる。
![]() アオクビアヒル(左上)と2羽の“マルガモ” 2羽とも一見カルガモに似るが、嘴爪が先端だけでなく上まで黒い。手前の個体の白っぽい下尾筒にも注目。 ![]() “マルガモ” 奥の個体はマガモ♀に似た羽色だが、それよりやや暗色部が多め。嘴のパターンは縁まで黒いためカルガモに似るが、基部に黄色部がある。 ![]() “マルガモ” 上の手前の個体と同一。一見カルガモに似るが、嘴先端の黄色部が大きく基部も黄色い、下尾筒が白っぽい、尾羽がより白い、などの点が異なる。 これまでも何度か書いたが、もし仮にこうした人為移入による交雑を問題ありと考えるとしても、「捨てアヒル問題」を「餌付け問題」にすり替えていては解決にならないだろう。「東京都内でカモの雑種が何十羽も見つかっている、餌付けが原因ではないか」という趣旨の新聞記事等が以前何度か出たが、この手の捨てられたり放し飼いにされた家禽が関わった雑種と、元々ごく近縁で交雑例の多いヒドリガモ×アメリカヒドリの雑種を勘定に入れ、さらに雑種ではないカモの単なる年齢や換羽状態による変化まで誤って雑種として数えてしまえば、あっという間に何十羽という数が雑種として記録されてしまっても全く不思議ではない。 ちなみにこの公園では大規模な餌付けは行われていないが、近隣住民らしき人が少量の餌を与える姿は数回見かけた。餌付いているもの、いないものを含め全体ではオナガガモ12羽、ヒドリガモ31羽、オカヨシガモ2羽、キンクロハジロ122羽、ホシハジロ103羽をカウントしたが、“マルガモ”以外の雑種は、ヒドリガモの中にアメリカヒドリとの交雑と思われる、頭部に緑色光沢のある個体を1羽確認したのみだった。東京近辺の各地の公園等で見ていると、雑種については程度の差はあれどこも概ね似たような状況であり、以前新聞に書かれたような、「餌付けのせいで様々な組み合わせの雑種が生まれている」などと言えるような状況は見たことがない。またいわゆる“マルガモ”についてはここのような状況の場所も確かにあるが、もちろん普通のカルガモや野生のマガモがそれぞれ群で沢山見られる場所も多い。どこでも同じように“マルガモ”だらけになっているわけでは決してないので、この点も少し落ち着いて見極める必要があるだろう。 関連記事 “マルガモ” それ本当に雑種ですか? 2009年 11月 05日
東京近郊のカモは80~90年代に比べて激減していて、特定の場所に行けば沢山見られうというわけにもいかなくなっているので、最近はなるべくあちこちのポイントを小まめに見て回っている。
![]() 画像はそんな中で訪れた公園池で見た風景。「生態系を乱す原因になる」云々で餌やりはやめましょうという立看板が立っていた。もちろん餌やりをどう位置づけるかはそれぞれの場所の特性や諸事情に照らした判断があっていいとは思うのだが、しかしここで殊更「生態系」という言葉を持ち出すのであれば、餌やりどうこう以前にこのコンクリートプールのような恐ろしく人工的な池の造りを何とかしたらどうなのだろうと思う。この場所もそうだが、都市近郊では宅地開発や外来種の蔓延等々によって元あった生態系などとっくにズタズタに崩壊している場所が大半といっていい。各地で普通に行われている、草地や藪を整地して“綺麗な”芝生の公園にすることだって言ってみれば餌やり以上に甚大な生態系の破壊だ。また自然豊かに見える農村部だって、わかりやすい公共工事等以外でも、農業や林業など何らかの形で人が自然に手を加えることは常に行われている。にもかかわらず、なぜか殊餌やり云々という話になると「生態系を乱す」とか「人が自然を変えてはいけない」という類の言い方が都合よく持ち出されるのは随分不可解だ。 もちろん手付かずの自然が残っているような場所で「生態系を乱す原因になるので―」と言うならまだ解るし、以前はよく目にした、まるで何かの使命のようにやたらと大量のエサを撒き散らすようなやり方も決して正しいとは思わないが、最近はむしろただ単に餌やりさえ止めさせれば生態系が保たれるかのような、あまりに単純すぎるイメージが一般に広まってしまっている印象を受ける。 ![]() ▲上の画像と同じ池の周りの風景。寝そべったり遊んだりしやすい、歩きやすい、不快な虫などがいない、などの人間側の都合で全国各地の公園等の膨大な面積が単調な芝生やコンクリートで埋められている。 そういえば餌やり関連で最近ちょっと面白い記事を見つけた。良いか悪いかという言い方を急ぐのではなく、観察の大切さを説いているところが非常に共感できた。(記事は本文下の番号をクリックして続きを読めるようになっている。) 2009年 10月 29日
昨日は多摩ニュータウンにある二つの公園池を覗いてきた。どちらもマガモとカルガモの中間的特徴を持ついわゆる“マルガモ”タイプの雑種が見られ、特にそのうち一つの公園の方は20羽ほどいたカモのほとんどが“マルガモ”というびっくりするような状態になっている。なるほどこういう場所の印象が大袈裟に伝われば、「純粋なカルガモはほとんどいない」みたいな話になってしまうのも頷けるが、もちろんその辺りの状況は実際には場所によって全く異なるので十分注意が必要だ。そしてやはり興味深いのはどちらの公園もアオクビアヒルやアイガモといった明らかに野生のカモではない個体が見られたこと。この手の雑種の片親が野生のマガモなのかアヒルやアイガモなのかは、そもそもアヒルの原種がマガモなだけあって外見からは判断しづらいことが多いが、雑種が多くみられる場所にはアヒルやアイガモがいることが多いことは大いに注目に値する点だ。ちなみに分類学上の種名としてはマガモもアヒルもどちらも「マガモ」ということになるので、アヒル×カルガモをマガモ×カルガモとか“マルガモ”と呼んでも間違ってはいないことになるが、しかし実際にはマガモと聞けば野生のマガモを思い浮かべることが多いし、色々誤解を招く恐れもあって不便ではある。カモの雑種については2月19日のこちらのエントリもどうぞ。
![]() 左からアオクビアヒル、“マルガモ”♀、“マルガモ”♂ 2009.10.28 東京都多摩市 ![]() “マルガモ” 2009.10.28 東京都多摩市 20羽近い群の一部で、写っている個体は全て“マルガモ”。後方の一見カルガモに見える個体も明らかにマガモ的特徴が出ていた。 2009年 02月 12日 ![]() 上の画像は1993年2月27日、上野不忍池で撮影したホシハジロXキンクロハジロの雑種。両方の形質が現れており非常に面白い。当時エサやりが極めて盛んだった不忍池を覆いつくしていたカモの中で、圧倒的多数を占めていたのはキンクロハジロ、ホシハジロ、オナガガモの3種。ところがこの3種の間の組み合わせの雑種というと、実は私はこの1個体しか見た記憶がない。当時コスズガモなどの珍しい種を探すため、ここを訪れるたびに数百~数千羽の群をスコープと双眼鏡でしらみつぶしに観察していたにも関わらずだ。カモ類自体が激減した今となっては非常に貴重な写真になった。そんなわけで一部でしばしばまことしやかに語られる、「近年餌付けが原因でカモの交雑が増えて大変なことになっている」などとする言説は、私の目にはどうも一部の人が頭の中で組み立てた絵空事に思えてならない。 カモの雑種というと、なんと言ってもダントツに観察例が多いのがマガモ(アヒル)Xカルガモ、及びヒドリガモXアメリカヒドリ、この2組だろう。しかしこの2組はともに形態からも想像できるようにもともと極めて近縁であり、繁殖分布が隣接・重複しているため交雑しやすい。しかもマガモ(アヒル)Xカルガモについては野生のマガモというよりむしろ捨てられたり放し飼いにされたアヒルやアイガモとカルガモの交雑が疑われる例が多いので、まずは餌付け云々以前に「家禽の管理問題」に目を向けるべきだ。ヒドリガモXアメリカヒドリについては、多摩川や三番瀬など餌付けと関係のないところで多数の交雑個体を観察した経験があり、不忍池などでの雑種の頻度が高いとは全く言えない。そもそもこの2種は普通に混群で生活する組み合わせであり、かつ都内でアメリカヒドリが餌付いた例自体が極めて稀なため、餌付けと交雑を関連付けること自体あまり意味がないだろう。 上記二組よりずっと少ないが、90年代当時比較的見る機会があったのはスズガモXキンクロハジロだが(といっても1日僅か0~数羽程度)、これももともと餌付けに関係なく混群になる組み合わせだし、スズガモ自体が汽水~海水域を好み餌付く例がごく限られているため、餌付けと交雑を結び付けるには無理があるだろう。これ以外の組み合わせの雑種となると色々見たことはあるが全く問題にならないほど稀で、ましてどちらか片親がトモエガモやメジロガモのような例は、そもそもその種自体がそこでは稀もしくは見られないわけで、いずれも餌付けとの関連性があるとは思えない(画像はメジロガモXホシハジロ)。加えてこの数十年で都内のカモ自体が激減し、当然雑種を見つけることもますます難しくなっているため、「餌付けで雑種が増えて大変なことになっている」などというのはあまりにも現実とは遠くかけ離れている。こういった混乱の背景には、どうやら基礎的な観察技能の問題があるようだ。そもそも鳥は年齢、換羽、個体差、観察状況などによって印象が大きく変わることは日常茶飯事なのだが、わからない個体に出くわすとすぐに「雑種だ」という結論に飛びつく風潮が未だに強く、ネット上その他でも雑種ではないものが雑種にされてしまっている例が目を覆いたくなるほど多い。鉄分の多い水に染まって腹がオレンジ色になったオナガガモなどもよく見られるが、これも「変なカモ=雑種」というイメージから簡単に雑種にされてしまうことがある。交雑=餌付け原因説は、一部の人が頭の中で組み立てたようなストーリーがどんどん増幅してしまっている感があるが、そういうことを語るよりもまずは事実を見極める基礎的な観察力を見直すことから始める必要があるだろうと思う。 またそもそも、「本来は種類ごとにかたまって越冬しているのに、餌付けによって混群化しその結果交雑が増える」とする理屈自体が極めて不可解だ。元々カモ類は何種もが混群で越冬する習性があり、むしろ餌付けがなされるとほとんどオナガガモばかりの群になったり、そうでなくとも先の不忍池のように数種が圧倒的多数を占めたりする傾向すら私はあるように思うのだが、したがって、「本来は種類ごとにかたまって冬を越しているはず」などと聞いた時点で、どうやらその人が普段カモを観察していないのではないかと思わざるを得ない。画像は参考までに餌付けが行われていない多摩川のカモの混群。コガモ・オナガガモ・ヒドリガモ・アメリカヒドリ・オカヨシガモの五種が写っている。もう一点付け加えると、そもそも「種」というもの自体が多くの人が頭で考えるほど固定的なものではなく、縁の近いものはある地域や時期に交雑が進んだり、何かのきっかけで分化が進んだりというのは元々ある自然なことだ。むしろ、ある程度以上分化が進んだものを我々人間が見て「種」と認識し、それほどではないものを「亜種」と認識している場合が多いと言った方がいいかもしれない。もちろん冒頭に挙げたアヒルのように人為移入による交雑が野放図に進むことついては問題があるのかもしれないと思うが、それにしても交雑を初めからあたかも当たり前のように何でも「悪いこと」「異常なこと」だとする言い方の根拠はところでどこにあるのだろう?というのも改めて多くの人に考えてみてほしいところだ。 なおこちらにも関連記事があるのでぜひご覧頂きたい。 2008年 07月 31日
唐突だが、ちょっと思うところがあって「スズメ 丸焼き」のキーワードでスズメの羽毛をむしった状態の画像を検索してみた。リンクを貼ろうかとも思ったのだがさすがにグロい画像が多いのでそれは止めておいて、スケッチで書き起こしてみた。
![]() 羽毛をむしった状態のスズメ(左) 通常の状態のスズメ(右) こう見てもわかるとおり、羽毛をむしった鳥というのは普段見慣れたイメージとは全く似ても似つかない姿だ。特に首などは全く信じられないほど細いし、鳥の外見というのはいかに多量の羽毛の存在によって形作られているか、ということがわかると思う。したがって、羽毛の状態次第では物凄く膨張して見えたり痩せて見えたりということが、頭で考えるよりはるかに劇的に起こっているのだ。 この辺の理屈というのが一般にはなかなか正しく理解してもらえないようで、鳥の外見だけを見て随分と簡単に痩せている太っていると断じるような言い方をいまだに目にするが、なんとなくの印象ではなくもう少し構造的な理解を通して対象を見ていただきたいと思う。
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