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カテゴリ:カナダカモメ( 44 )

2014年 04月 07日
写真図鑑のカナダカモメ
再び「比べて識別 野鳥図鑑670」 関連の話題。

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まず上の2つの画像を見て頂きたい。これを見て「右の個体の方が足が長い」と思った方は、ひょっとすると日頃からカモメ類の見方を大きく誤っているかもしれないので、以下の文章は是非とも読んでいただきたいと思う。

というのもこの2つの画像、実は同じ日に同じ場所で撮った同一個体※だからだ。左は14時42分、右は13時52分の撮影で、この間一度も目を離していないし、そもそも似た個体はいないので同一であることは100%確実。1羽のカモメの見た目は、姿勢や羽毛の状態だけでこれほど劇的に変化するという事実をまず理解して頂きたいと思う。

もう少し詳しく説明すると、左の画像は水浴び後の羽繕いの最中で、腹部の羽毛を膨らませているために、脛(すね/tibia)が隠れて足が短く見える状態。右は浅瀬で活発に採餌中で、腹部はもとより全身の羽毛をピタリと寝かせ、脛を突き出しているために足が長く見える状態だ。 カモメ類はこのように、羽繕い/休息時よりも採餌中/緊張時の方が、また寒冷地よりも温暖な地域の方が、羽毛を寝かせていて足が長く見えるという現象が顕著にみられる。特に波打ち際などで足が水に浸かる場所での採餌中には、腹が水面に付くのを嫌うのか理由は定かではないが、足を非常に長く突き出して動き回っていて、一見全く別の鳥のように見えることもよくあるので注意が必要。この辺りは一個体をある程度きちんと追跡観察していればわかることだが、カモメ類の体型を見る際の基本的な注意事項といっていいだろう。

a0044783_13343449.jpgそれでは1羽のカモメ類の足が、見かけ上ではなく本当に長いか短いかをどう見極めればいいのか?というと、上述のように姿勢や羽毛の状態によって見え隠れする脛(すね/tibia)を含めた長さを見るのは誤りの元なので、跗蹠(ふしょ/tarsus)の長さを見る方が正解といえる(それぞれの部位は左の画像を参照)。跗蹠なら羽毛に隠されることがないので公平な判断がしやすく、特に防波堤上のカナダカモメやアイスランドカモメは、周囲に並んでいるセグロカモメ等と直接比べると、跗蹠が短いのがよくわかることが多い(ただし計測値では個体によりオーバーラップがあることにも注意)。
なおかなり以前にBirder誌上で森岡照明氏が、銚子で撮影されたアイスランドカモメ(「日本の野鳥550水辺の鳥」掲載の個体)を検証し、一緒に写っているセグロカモメとの跗蹠長の比較などからアイスランドカモメとの結論を導かれていたが、これは足の長さの見方という意味では至極真っ当なアプローチと言えると思う。

ところが最近出版された「比べて識別 野鳥図鑑670」では、カナダカモメのページにおいて、腹部の羽毛を極度に膨らませた個体の写真に「足の短い個体」という説明がなされ、腹部の羽毛を寝かせている個体の写真には「足の長い個体」という説明が加えられているが、この説明の仕方は言うまでもなく全く間違っている。これでは著者の方は上述のような状況による変化をまるで理解していないように見えてしまうし、何よりも読者が実際の野外観察でこの本の写真と説明に従ってしまうと、同一個体がその時々の状況によってコロコロと別個体(または別種)と判断されてしまいかねず、図鑑としては大変問題のある記述と感じざるを得ない。

また同様にシロカモメのページでも、明らかに腹部の羽毛を膨らませた写真を、足が短く初列風切が長くてアイスランドカモメと誤認されるタイプ―というような説明をしているが、無論これも「タイプ」でもなんでもなく、そういう「状態」でしかないことはここまで書いたことからもよくわかると思う。もちろん海外の図鑑等の計測値からも、カモメ類はどの種も跗蹠の長さ自体にもかなり個体差があるのは事実だが、それと上述のような脛の見え隠れによる見かけ上の長さの変化を混同してはいけない。「極力条件を揃えて比較する」というのはカモメ識別に限らずものの見方の一番の基礎。まして「識別」をタイトルに掲げた図鑑を執筆するのであれば、無用な混乱を助長しないためにもこうした基本的なところをもう少し勉強して頂きたかったと思う。


※冒頭の画像は通称“2号”個体。2009年に見つかったkumlieniタイプの個体のうちの2個体目という意味でこう呼ばれている。2009年時点ではアイスランドカモメ亜種kumlieniと考えられた が、後年の継続観察によって、初列風切のパターン からカナダカモメとの中間個体/雑種と見るのが妥当と判断した。下は参考に冒頭と同じ画像の背景を切り抜く前の状態。

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by Ujimichi | 2014-04-07 19:00 | カナダカモメ

2014年 02月 24日
21日のカモメ類
随分と久しぶりの更新になってしまったが、先日21日のカモメ類をUPしておいた。2006年から連続渡来しているカナダカモメ、通称「ご子」がすっかり成長した姿(第9回冬羽)も見ることができた。

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by Ujimichi | 2014-02-24 16:58 | カナダカモメ

2013年 04月 04日
三脚は閉じて持とう
画像は4日1日撮影のカナダカモメとシロカモメの接近シーン。

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カナダカモメ Larus thayeri シロカモメ Larus hyperboreus

ところで実に有難いことに(?)、大型カモメ類はその識別のややこしさや地味さから一般にはすこぶる不人気で、皇居に観察に来る人も大抵数えるほどしかいない。そのためこのブログでも地名を含めた観察情報を特に制限することなく公開してきたが、だからこそ一応念のため少し注意点を書いておくと―皇居では一般の通行人も多い歩道での観察になるので、邪魔にならないように注意しながら観察して下さい。特に近年各地でよく見かける、三脚を大きく広げたまま担いで歩く行為は、接触事故等のリスクもありますので控えて下さい。以上ご協力お願いします。m(__)m なおアイスランドカモメ亜種kumlieniは4月1日に10時~16時頃まで粘りましたが結局観察できませんでした。
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by Ujimichi | 2013-04-04 20:35 | カナダカモメ

2013年 04月 01日
別人・・・
今日の皇居。あわよくば先月22日に見つけたアイスランドカモメ(kumlieni)にもう一度会えないかと淡い期待を抱いて約6時間、降りてくるカモメを一羽たりとも逃すまいと延々チェックし続けた。午後2時を回った頃、ついに淡い灰褐色の奴が!!・・・と一瞬思ったものの、よく見たら残念ながら全くの別人。さすがに世の中そんなに甘くはないようだ。初列風切はどう見ても濃すぎるし、サイズもあの個体ほど小さくもない。薄くて大きめのカナダカモメか、そうでなくてもせいぜいkumlieniとの中間個体といったところか。あまり小さくないことからシロ×セグロ等の雑種の可能性も一応考えたが、2wの割に嘴は黒いしjizzもよく見る明確なシロ×セグロという感じではなかった。

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by Ujimichi | 2013-04-01 23:48 | カナダカモメ

2013年 03月 17日
二冬目
画像は一昨日撮影の皇居のカナダカモメ第2回冬羽。滞在時間は20分ほどで飛び立っていった。昨年第1回冬羽で渡来した個体で、かなり小柄で可愛らしい。

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カナダカモメ Larus thayeri 第2回冬羽

先ほど3月11日銚子3月15日皇居のカモメをUPしておいた。クロワカモメの背中の色についても改めて詳しく取り上げている。
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by Ujimichi | 2013-03-17 18:55 | カナダカモメ

2013年 03月 01日
またも同一個体!
せっかくなので再度皇居を覗いてきた。前回もいたこのカナダカモメだが、なんかどこかで見たことがあるような・・・?と考えていてはたと気が付いた。昨年12月25日の銚子で夕方最後に現れた白斑の大きな個体によく似ているのだ。というわけで帰宅後画像を比べると見事ドンピシャ!嘴の黄色味が増しているのは時期による変化だろうが、サイズや体格、顔つき、背の淡さ、そして何より初列風切P8-P6の白斑が特大で、P9とP10はがくんと小さい。P6の黒が白い羽軸により2つに分断されているのも同じ。さらに、飛翔時のP9は左翼ではミラーを欠く特異なパターンだが、右翼は通常のカナダカモメのパターンに近い。この左右非対称性はかなり決定的な特徴といっていいだろう。銚子と皇居では想像以上に個体の行き来は盛んなようだが、裏を返せば大型カモメが溜まる場所がそれだけ限られているということになるのかなとも思う。

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by Ujimichi | 2013-03-01 22:07 | カナダカモメ

2013年 02月 27日
本調子
昨日の皇居の画像から一枚。カモメ類はようやくそこそこの数が入るようになってきたようで、昨年第1回冬羽で渡来していた淡いカナダカモメ(×kumlieni?)が第2回冬羽になった姿を確認できたのが嬉しかった。2週間前は全くダメだったが、ちょっと時期が早すぎたかも。それにしてもなぜここのカモメは2月後半~3月に入ってくるのかちょっと興味深い。

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カナダカモメ(×アイスランドカモメ亜種kumlieni?) Larus thayeri (x L. glaucoides kumlieni?)
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by Ujimichi | 2013-02-27 19:50 | カナダカモメ

2013年 01月 24日
今日の発見
先ほど昨冬撮ったカモメの画像をちょっと見直していて、「あっ!」と一つの発見があった。画面左の昨冬撮ったカナダカモメと、右のこの冬撮ったカナダカモメが同一個体と見てまず間違いなさそう。羽色等の変化の進行には個体差もかなりあるので難しいが、昨冬が第4回、今冬が第5回(成鳥)冬羽くらいか。

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カナダカモメ Larus thayeri

いつも思うことだが、こうした個体識別には直感と論理的思考の両方が不可欠。膨大な記憶の中から、「あれ!?こいつはあの時のあれでは?」と気付くには理屈だけに凝り固まっていてはまず無理。しかし次にそれが同一個体として矛盾がないかどうか、改めてしっかり確認するには論理的・分析的に画像を比較検討することが重要になる。もちろんそれ以前にカナダカモメにどれくらいの個体差の幅があり、別個体なら通常どれくらい違って見えるか、また同一個体が諸条件でどれくらい違って見える場合があるか、といったことがある程度経験的にわかっていることも必要なので、この辺はなかなか奥が深いところ。
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by Ujimichi | 2013-01-24 20:12 | カナダカモメ

2012年 04月 19日
同一個体Ⅱ
今月1日のエントリで、銚子と皇居で撮影した同一個体のアメリカセグロカモメを紹介したが、早くもそれに続く第二弾、今度はカナダカモメで同一個体が撮影されていたことがわかった。この冬知り合った高校生(当時)バーダー、森田佑介君より、「2月28日に皇居で撮影したカナダカモメ第2回冬羽が、氏原さんが銚子で同月13日に撮影したものとよく似ている。虹彩、顔つき、嘴と初列風切のパターン、頭部の斑、三列風切の模様などがほぼ一致しているように思う。」―という旨の大変興味深いメールを先日頂いた。そこで早速HDDの2月13日銚子のフォルダから同じ向きの画像を拾い出し、メールに添付されていた皇居の画像と並べてみた瞬間に「あっ!!」と息を呑んだ。全体を一瞥する限りは撮影条件がかなり違うのでわかりにくいものの、比較的個体の特徴が出やすい三列風切や大雨覆を詳しく見ると、確かに細かい虫食い斑の一つ一つが見事に一致している。

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カナダカモメ Larus thayeri  2012.2.13 千葉県銚子市 撮影:氏原道昭 (上), 2012.2.28 皇居 撮影:森田佑介 (下)

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カナダカモメ Larus thayeri  2012.2.13 千葉県銚子市 撮影:氏原道昭 (上), 2012.2.28 皇居 撮影:森田佑介 (下)
ここでは比較的わかりやすそうなポイントを拾い出して番号をつけてみた。特に第2回冬羽の模様は複雑な上に個体差が大きいので、ここまで多数の特徴が別個体で偶然に一致することは考えにくく、同一個体と見て間違いないだろう。それら各模様の角度や太さ・濃さ等の若干の違いは、撮影角度による歪みや光線状態の影響と見て十分差し支えない範囲といえる。また三列風切上部については28日の画像では乱れが激しく状況がわかりづらいので比較の対象外とした。下に番号を入れる前の画像も貼っておく。

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カナダカモメ Larus thayeri  2012.2.13 千葉県銚子市 撮影:氏原道昭 (上), 2012.2.28 皇居 撮影:森田佑介 (下)

前に紹介したアメリカセグロカモメに続き、これで銚子と皇居がまた一つ新たな線で結ばれたことになる。この個体は銚子で私が観察したのはこの2月13日の一回きりなので、これもやはり銚子に出現後比較的早々に東京湾方面へ移動したのかもしれない。カナダカモメやアメリカセグロカモメは数が少ないために同一個体が現れた場合に特定しやすいが、これがセグロカモメとなるとさすがに数が多すぎて一見わかりづらいだけで、実際はかなりの数が銚子と皇居/東京湾を行き来している可能性がより高まったといえるとも思う。最後に興味深い観察と共に画像を提供していただいた森田君に感謝します。



以下参考画像:

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カナダカモメ Larus thayeri 第2回冬羽 2009. 2. 28  千葉県銚子市 撮影:氏原道昭
3年前の同時期に撮影したカナダカモメ第2回冬羽。撮影年を度外視しても今回のものと別個体ということは一目瞭然。雨覆の模様はずっと細かく、各羽の先端部が幅広く白いのも目立つ。胸部の斑もより一様に潰れた印象が強い。

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カナダカモメ Larus thayeri 第2回冬羽 2009. 2. 28  千葉県銚子市 撮影:氏原道昭
同年撮影の別個体。換羽の進行がかなり早い個体で、雨覆にも灰色部が及んでいる。こちらも大雨覆の模様は今回の個体より細かい。顔から胸の斑はやや疎らで白っぽく見える。



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by Ujimichi | 2012-04-19 05:56 | カナダカモメ

2012年 03月 13日
視点
昨日のカナダカモメ画像からとりあえず3点。通常はなるべく全身像を真横で、しかも普通の光線状態で特徴をわかりやすく撮ろうとすることが多いが、もちろん何もそれだけが対象の真の姿ではないことも事実。時にはこうして少し違った視点から眺めてみるのもそれはそれでなかなか面白い。

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カナダカモメ Larus thayeri 第1回冬羽

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カナダカモメ Larus thayeri 第1回冬羽

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カナダカモメ Larus thayeri 第1回冬羽
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by Ujimichi | 2012-03-13 20:43 | カナダカモメ