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2009年 02月 21日
クビワキンクロ×キンクロハジロつづき
18日撮影の(推定)クビワキンクロ×キンクロハジロから。キンクロハジロ寄りの印象が強く出た画像だとわかりにくいので、遠めながら比較的クビキンフレーバー(?)が出ている画像を少し追加。どうもこの個体は距離が遠めだったり、斜め前向きだったりする方が冠羽が見えにくいため、よりクビワキンクロ的な印象に見えるようだ。その代わり近くで見るとどうしても冠羽が目に付くせいか、一見ほとんどキンクロハジロに近い印象に見えてしまうこともあった。

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(推定)クビワキンクロ×キンクロハジロ Presumed Ring-necked DuckxTufted Duck hybrid, 1st cycle female

a0044783_1522218.jpgところでこの個体は後頭部が尖った頭の形と嘴の基部の白斑からコスズガモを連想されることもあると思うが―

(1)嘴先端の黒斑が多くのキンクロハジロよりむしろ大きめで明瞭 

(2)次列風切にも灰色味があり、特に三列風切との境目付近の数枚の羽(S9-11あたり)が明らかに灰色

(3)次列風切先端の黒帯が細く不明瞭で、特に上記のS9-11あたりで途切れ気味

という3点がコスズガモと明らかに矛盾するため、コスズガモはもちろん、コスズガモ×キンクロハジロの可能性も否定できる。スズガモ×キンクロハジロに関してもほぼ同様。ちなみに「推定」などと書いているのは、雄の雑種ほどわかりやすくはないことなどからあくまで念のために他の組み合わせの雑種の可能性に配慮してのことだが、しかし実際には他に妥当な候補はあまりないように思う。またいずれにしても現場で大よそ一通りの特徴が確認できた時点でクビワキンクロそのものである可能性はすでにない。
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by ujimichi | 2009-02-21 02:09 | カモ

2009年 02月 18日
珍しい雑種
「皇居にクビワキンクロ」という情報があるようなので確認に行った。事前に見た画像では確かにそれ的な特徴もあるものの、なんとなく冠羽状のものが見えるような気もするし、全体的にクビワキンクロと言うには腑に落ちない点が多い。かといってキンクロハジロにしてもおかしいことも確かで、となるとこれはひょっとするとクビワキンクロより貴重な雑種かもしれない!?というわけでなかなか面白そうなので見に行くことにした。

現場に着くといると思った場所にはいないのであちこち探し回り、ようやくそれらしいキンクロハジロの群に遭遇、と同時に鳥屋さんの群がいることにも気づくがそれはさておいて、群を双眼鏡でざっと眺めたらあっさり件の個体が見つかった。第一印象は「クビキ・・・いややっぱり変だなあこれ・・・」というところ。事前に見た画像の印象通り、クビワキンクロとキンクロハジロを足して2で割ったような感じだった。こうなると翼帯にも中間的な特徴が出るのではないかと予想して粘ることに。ほどなくして羽繕い中にチラッと覗いた次列風切は案の定白い!その後羽ばたきや伸びを撮影できたが、次列風切の白色部は内側初列風切にもぼんやりと入り込んでおり、全てグレーのクビワキンクロの翼帯とは明らかに違うことを確認できた。しかしキンクロハジロほどすっきりとした白でもなく、やっぱりこの点も中間的。翼帯や嘴のパターンなどの特徴はホシハジロXキンクロハジロでも合致しそうなのでその可能性も考えたが、総合的な印象としてはクビワキンクロXキンクロハジロがやはり一番妥当な線かなと思う。この個体の年齢は一年目。性別は雌。雄であれば若くてもこの時期にはもう少し雄らしい特徴が出るのが普通で、また脇に出ている新羽が白や灰色ではなく褐色であることからも雌と見てよいだろう。ちなみにこの組み合わせの雑種は実はアイスランドで雄が観察された例があるので、同じく両種の分布の境界に近い日本で観察されても不思議はない。しかしいずれにしてもこんな雑種を見るのはもちろん初めてで、過去何個体も見ていてなおかつネットや図鑑でいくらでも写真が見られるクビワキンクロよりむしろ私としては面白かった。

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Presumed Ring-necked DuckxTufted Duck hybrid, 1st cycle female
この画像だけではキンクロハジロとの差がかなりわかりにくいと思うが、現場では全体の印象は状況によりクビワキンクロ風にもキンクロハジロ風にも見え、確かにかなり変わった個体だということはすぐ解った。下の画像ではもう少しクビワキンクロ風の雰囲気が出ていると思う。

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Presumed Ring-necked DuckxTufted Duck hybrid, 1st cycle female
後頭部がせり上がったクビワキンクロ風の頭の形だが、短い冠羽がある。嘴先端の黒斑とその内側の淡色帯はそれぞれ大きく明瞭で、キンクロハジロ雌よりコントラストが強く目立つ印象。嘴の形状は微妙ながらキンクロハジロよりやや先が長く延びたようなクビワキンクロ的な要素が多少はあるように感じた。脇に濃い褐色の新羽が見えるので雌と判断できる。

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Presumed Ring-necked DuckxTufted Duck hybrid, 1st cycle female

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Presumed Ring-necked DuckxTufted Duck hybrid, 1st cycle female
次列風切の翼帯は白く見えるが、よく見るとグレーのぼかしが入っており、特に内側3枚ほどが灰色で先端部の黒色部が細く弱い点に注目。

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Tufted Duck (left) and Ring-necked duck (right)
翼帯の色はキンクロハジロは白、クビワキンクロは灰色。後縁の黒帯はキンクロハジロは太く、クビワキンクロは微弱。従って今回の雑種は見事に中間の特徴が現れていることがわかる。ただしホシハジロの風切のパターンもクビワキンクロに似るため、ホシハジロXキンクロハジロでも似たパターンになる可能性はある。しかしその組み合わせであれば全体に羽色が明るくなるなど、もう少しホシハジロの特徴が現れるのではという印象を受けた。

追記:雑種の識別は細部および全体の印象も含めたできるだけ多くの特徴を注意深く観察し、雌雄、年齢、換羽状態、個体差、状況による見た目の変化の可能性等を十分考慮し、両親の候補となる種の特徴との比較検討をして慎重に判断する。1点のみの特徴がちょっと変わっていたとか、図鑑に載っているものと少し違うというだけで簡単に雑種としてしまうと誤認になってしまう危険性が高い。雑種というとバードウォッチャーの間でも価値を低く見る傾向もあり、そのことがかえって安易な識別につながっている面もあると思う。この記事もあくまで極稀な雑種の例として取り上げたものなので、今後他の個体の識別に関してこの記事を参考にされる場合も、断片的な特徴や画像が似ているといったことではなく、できるだけ多くの特徴を総合して慎重に判断して頂きたいと思う。

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by ujimichi | 2009-02-18 23:28 | カモ