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2012年 11月 30日
モンゴルセグロカモメ
日本産鳥類目録第7版関連の話題の続き。この目録ではモンゴルセグロカモメmongolicusの和名は、種名だけでなく亜種名としてもキアシセグロカモメとなっているのには驚いた。本来この和名は見た目からも英名からも、地中海に分布するmichahellis 及び大西洋の島々(カナリア・アゾレス)に分布するatlantis (-この2亜種でYellow-legged Gull Larus michahellisとされるのが現在一般的。足は鮮やかな黄色。)に充てられるのが明らかに妥当なので、足があまり黄色くなく、しかも近年ではmichahellis、atlantisとは遺伝的にかなり遠い関係にあると言われるmongolicusの亜種名をキアシセグロカモメとしてしまうと今後かなり混乱を来す恐れが大きく、ここはこの目録のカモメ類の扱いの中でも特に大きな問題点の一つだろう。

なお拙著カモメ識別ハンドブックの旧版(2000年)では、mongolicusの和名をキアシセグロカモメとしているが、これは今回の目録と同様に東のmongolicus(バイカル湖・モンゴル)からcachinnans(カスピ海・黒海)を経てmichahellis(地中海), atlantis(大西洋)までを全て同種Larus cachinnansとした場合の種名という意味。ただし表題のキアシセグロカモメという和名の下にLarus cachinnans mongolicusと亜種名まで書いてしまったために、和名も亜種名と受け取られる恐れは確かにあり、ここは今振り返ると反省点の一つ(smithsonianusについても同様)。当時としては表題は「キアシセグロカモメ Larus cachinnans Yellow-leged Gull」だけにし、図版や解説に「亜種mongolicus」等と書くのがベターだったかと思う。ただしp48の「日本で見られるセグロカモメの仲間について」の中の「キアシセグロカモメ」の項目で当時の分類の状況を説明しているので、こちらも併せて読んでいただければ、こちらの意図通りに理解して頂くことはできたとは思う。

いずれにしても以上のようなことから、現在ではmongolicusの和名は、英名(Mongolian Gull)や分布、またmichahellis.atlantisとは明確に切り離す近年の世界的な分類の潮流からも、キアシ―ではなくモンゴルセグロカモメとするのがやはり妥当と思う。

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モンゴルセグロカモメ

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by Ujimichi | 2012-11-30 20:55 | 日本産鳥類目録第7版

2012年 11月 28日
アメリカセグロカモメ
先般出た「日本産鳥類目録第7版」は特に買っていないが、公開されているリスト及びネット上の情報を見る限り、少なくともカモメ類の分類に関しては、20年くらい前に時代が逆戻りしたのかと錯覚するような、相変わらずなかなかの保守的な内容のようだ。全体的な目・科の配列がそれまでの版と大きく変わっていることなどから、あれが「最新の」そして「正しい」分類なのだと信じて疑わない純朴な初心者も多いのではと思うし、下手をすると単純に出た時期から、拙著「カモメ識別ハンドブック改訂版」の方が古い分類のように勘違いする人がいてはさすがに困るので、中身の新旧で言うと実際は逆なのだということくらいは明確に言っておきたいと思う。

というわけで画像は昨冬のものだが、アメリカセグロカモメ Larus smithsonianus。日本産鳥類目録第7版では日本で普通に見られるセグロカモメ(vegae)と共に広義のセグロカモメLarus argentatusの一亜種という扱いになっている。ここで念のため断っておくと、私自身はあくまで観察者・絵描きであって、分子系統学などの知識が不十分なので、例えばこれを独立種とする近年の世界的な傾向の妥当性について云々するだけの器量はないし、分類についてはその時々の世界的時流を便宜上概ね踏襲しているにすぎないが、いずれにしろ日本産鳥類目録に合わせる理由は特にないと思うので、今後世界的に何か特に大きな動きでもない限り、このブログその他でもYesou 2002やOlsen 2003あたりを踏襲して独立種扱いを今後も継続の予定。なお日本産鳥類目録第7版のカモメ類についてはseichoudokuさんが感想を書いておられるので、ご興味のある方はこちらもぜひ参照して頂きたい。

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アメリカセグロカモメ Larus smithsonianus
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by Ujimichi | 2012-11-28 15:08 | 日本産鳥類目録第7版