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2011年 12月 22日
沖縄のオオジシギとされる画像Ⅱ
2012.10.13 追記:当該の画像は削除されたようです。

前回に引き続き、同じページ下部に掲載されている2008年9月3日撮影の個体についても言及しておく。この個体はもう少しは全身の様子がわかる画像が公開されているが、私には普通にチュウジシギ幼鳥に見え、これといってオオジシギらしい点が見当たらない。おそらく開いた尾羽の左側(逆立ち状態なので画面上では右側)が白っぽく見える点からオオジシギと考えたのかもしれないが、これに関してはまず尾羽基部に上尾筒が被っており、黒い部分を覆い隠している。さらに強い逆光による透過光が先端部の白味を強調している点にも注意が必要。これに対して右側(画面上では左側)については上尾筒の被りがなく、尾羽そのものが見えているが、黒色部が多いごく普通のチュウジシギのパターンといえる。オオジシギ幼鳥の尾羽がこの条件でこのように見えた記憶はない。上記の様々な条件を考慮すると、例えばこのようなチュウジシギとほぼ同様のパターンと見てよいように思う。全体のプロポーションや色模様もチュウジシギとして全く問題ない。

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オオジシギ Gallinago hardwickii 2011.9.5 神奈川県

ちなみにこうした鳥の識別については、それぞれの時代や地域における情報量、個々人の経験や力量によっては、様々な試行錯誤や紆余曲折はあって当然と思う。ただ、オオジシギは世界的に見れば日本周辺の狭い範囲でしか繁殖しない希少な種であり、環境省レッドリストでは準絶滅危惧種となっている。そうした種の渡来状況について、あまり不用意な識別によって「けっこういる」ような印象が広まってしまうことについては、やはり我々は多少なりとも問題意識を持つ必要はあるように思う。
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by Ujimichi | 2011-12-22 21:30 | 沖縄のオオジシギ?

2011年 12月 21日
尾羽パターンによるオオジシギ・チュウジシギの識別法について
現在かなり一般的になっている、外側尾羽の色パターンによるオオジシギとチュウジシギの識別法(オオジ=淡色・チュウジ=暗色)は、もちろん私より先に気付いていた諸先輩方は各地にある程度いただろうと想像するが、私がウェブサイトや「シギチドリ類ハンドブック」を通して一般に広く普及させた張本人であることは間違いない。であるからにはそれなりに責任もあると思うので、ここではこの識別法の適用範囲や有効性等について少し書いておきたい。

a0044783_15284168.jpgこれまでの私なりの観察経験や知りえた情報の範囲では、この識別法は少なくとも本州では多くの場合極めて有効である。オオジ・チュウジとも幼鳥の方が淡色傾向が強いように思うので注意が必要だが、ということは成・幼の区別をしっかりした上で適用すればさらに精度が上がる。また、それ以外の地域、沖縄や海外においても、外側尾羽が先端の白斑を除いてほぼ真っ黒に近く見えるようなタイプをチュウジシギと見ることは今のところほぼ問題ないように思う。

しかしながら、沖縄や大陸を通過するチュウジシギに関しては本州のものに比べて淡色傾向があり、白色部の量がオオジシギに極めて接近、もしくは重複する個体がどうやらかなりいるようなので、外側尾羽が白っぽいというだけでは軽々にオオジシギと判断することはできない。結局は大きさや全体のプロポーション、尾羽の枚数など、できる限り多くの特徴を観察し総合的に判断する以外にないと思うが、オオジシギの場合はそもそも、「尾羽の枚数が少ない」ことが特徴なので、仮に尾羽が撮影できたとしても、尾羽の脱落や重なりによって枚数が実際より少なく見えている可能性を考慮しなければならず、その辺りについてもかなり高いハードルがあることを認識しておく必要もある。また本州のチュウジシギに関しても、個体によっては淡色部が多めでいくらかオオジシギに接近していたり、尾羽の開き加減や見る角度によっては意外に淡色部が多く見えて誤認の原因になることもあるので注意が必要である。こう書いてしまうと沖縄でオオジシギを識別するのはほぼ不可能なような印象を与えてしまうかもしれないが、それでも典型的で判りやすいオオジシギが現れ、尾羽、全身像とも十分に特徴を捉えた写真がしっかり撮られれば、ある程度の確信を持つことはおそらく十分可能ではないかと想像している。
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by Ujimichi | 2011-12-21 15:32 | 沖縄のオオジシギ?

2011年 12月 21日
沖縄のオオジシギとされる画像
2012.10.13 追記:当該の画像は削除されたようです。

最近また新たに沖縄のオオジシギとされる画像が出てきているようだが、あれくらい、或いはそれ以上に外側尾羽に白色部の多いチュウジシギがいることは海外のバンディング画像その他から確認できているので、あの画像から当該個体がオオジシギであると判断することは全くできない。また面白いことに、同じ撮影者がこれまでに公開した沖縄のチュウジシギの画像にもほぼ同様のパターンのものはいくつもある。尾羽枚数についても、中央尾羽に脱落のある画像で18枚と確定することは困難。また静止像については今のところ体が前向きのもの1点しか公開されておらず、この点も証拠写真としてはあまりにも不十分。

本州のオオジシギのようにある程度普通に渡来していることが元々わかっているものならともかく、“沖縄のオオジシギ”がそうではない以上、十分な検証をするにはもっと1個体を多角的に捉えた一定量の画像が少なくとも必要だろう。ジシギの識別において尾羽が極めて重要な注目点であることは言うまでもないが、しかしながらこれがいつの間にか「尾羽さえ撮れれば決定的」という安易な捉え方にすり替わってしまっているような印象も受ける。またそれにより、はじめから当該個体がオオジシギという前提で分布その他について今後様々な推論等が拙速に展開されてしまうことについても大きな危惧を感じる。

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オオジシギGallinago hardwickii 2011.9.5 神奈川県
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by Ujimichi | 2011-12-21 01:24 | 沖縄のオオジシギ?

2011年 10月 06日
ヨーロッパムナグロ
拙著「シギチ・ドリ類ハンドブック」に日本未記録種として掲載した、ヨーロッパムナグロ Eurasian Golden Plover Pluvialis apricaria が先日沖縄で記録された。ムナグロとの比較画像、及び最大の特徴である白い翼下面も鮮明に撮られているので、次回改訂の機会が来れば当然ながら国内記録種として扱う予定。

ところで私の感覚ではヨーロッパムナグロとアメリカムナグロはかなりかけ離れた鳥なので、今回の個体が当初アメリカムナグロと識別されていたことについては随分と不可解に感じられた。翼下面の画像が撮られる以前に、大きさの情報もない数枚の画像を見た段階でも、私としては少なくともアメリカムナグロでないことは一目瞭然だったし、後に出てきたムナグロとの比較画像に見られるサイズの巨大さも考えればなおさら「なぜこれが?」という印象を強く受けたのが正直なところだ。ただ、おそらく今回の個体はヨーロッパムナグロとしては黄色味の乏しい個体であったことや、最長三列風切からの初列風切の露出枚数(primary projection)が4枚で両種に共通していること、そして何よりも国内未記録であることも手伝ってなかなかヨーロッパムナグロという方向には話が進みづらかった面は確かにあるかもしれない。またあるいは今回は羽毛を寝かせて頸を伸ばした状態で採餌していることが多くて、海外の画像等でよく見られるダルマのようにまん丸なイメージとは多少異なって見えた可能性もあるかもしれない。

というわけでいずれ「シギチ・ドリ類ハンドブック」改訂の機会があれば、今回の記録やその経緯から読み取れた要素はできる範囲で盛り込んでより完成度の高い内容にできたらと思っている。ただし通常出版物というのは現行の版の在庫がある程度はけない限り改訂の話はなかなか進まないのが現実なので、早い時期の改訂をご期待の方はできるだけ現行の初版第3刷をまずは買ってください。(笑)

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▲画像は今年8月に撮ったムナグロPluvialis fluva2羽。神奈川県内では数年前までムナグロが群れていた某休耕田が壊滅し、今年は行き場を失ったかのようなわずかな個体が上空を鳴きながら飛んでいくのを何度か目にして暗澹たる気分にさせられた。残念だが今後もこちらでのムナグロ類の観察についてはあまり明るい見通しは立ちそうにないのが現状だ。
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by Ujimichi | 2011-10-06 16:03 | シギチ