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2011年 04月 11日
モンゴル的
画像は今年の3月8日撮影。全体に淡色部が多い羽色、尾羽の帯など、モンゴルセグロカモメ的な特徴を持つ個体。ただし3月というかなり遅い時期にしては換羽・磨耗・褪色はそう進んでおらず、普通のセグロより白っぽいとは言っても驚くほど白いわけではない。こうした個体は毎年見かけるがなかなか判断が難しい。これまでの経験では日本ではこうした難しい個体が割と多く、韓国や中国の黄海沿岸ではわかりやすいモンゴルセグロカモメが多いようで、この点については以下のような可能性が考えられるかもしれない。
  1. 日本で見られる“難しい”個体のかなりの部分が実はセグロカモメや‘タイミルセグロカモメ’の個体差で、モンゴルセグロカモメの渡来数は実際かなり少ない。

  2. モンゴルセグロカモメの繁殖分布域の南寄りの個体ほど換羽・磨耗・褪色が早くてセグロカモメとの差が顕著、かつ移動性が弱くて黄海沿岸に留まる傾向がある。これに対し北部の個体は繁殖時期が遅いために換羽・磨耗・褪色も遅くてセグロカモメとの羽色の差異がそこまで顕著でなく、かつ移動性が強く日本など遠方へ拡散しやすい。また巣立ち後気温の高い状態をあまり経験せずに冬の日本(特に北日本)に渡来すればこれも磨耗褪色が進まない要因になり得るかもしれない。

  3. セグロ・モンゴルの繁殖地間で実は多少は個体の行き来があり、交雑が起きている。

このうち3については繁殖分布が離れているだけにさすがにどうなのか今のところよくわからないが、日本でのモンゴルセグロカモメの識別の難しさは少なくともこの1と2の両方が複雑に絡み合っているのではないか?という印象を受けている。ちなみに下の2枚目の画像は比較用に3月の典型的なモンゴルセグロカモメ。羽色・体型ともわかりやすく、こうした個体ならば決して識別の難しい鳥ではない。

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モンゴルセグロカモメ 第1回冬羽/夏羽 Larus [vegae/cachinnans] mongolicus
by ujimichi | 2011-04-11 10:46 | モンゴルセグロカモメ


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