2011年 09月 17日
”沖縄のオオジシギ”について
沖縄で撮られたもので明確にオオジシギとわかる画像を見たことがない、ということを何度か書いてきたが、この件に関してはどうもまだ上手く伝わっていない部分があるかもしれない。私は基本的に、「決定的な特徴である尾羽が撮られていないからオオジかどうかわからない」と単純に言っているわけではない。むしろ普通の静止状態の画像を見ただけでも明らかにオオジではないと思うものがオオジとされてきた例があまりにも多く、尾羽が撮影されているものでも私にはチュウジシギにしか見えないものもあった。また違うとは言い切れないものに関しても、特にオオジらしいわけではなく単に撮影条件が不十分でどうとも言いようがないだけということが多い。

この件に関しては、沖縄のオオジシギは本州のものとは違うのだとか、チュウジシギに似ているのだとかいった言い方がされる場合もあるようなのだが、であるならなおのこと、「ではなぜそれがオオジシギとわかったのか?」という根本的な疑問が投げかけられるのは当然のことだろう。私がこれまで様々な画像を見てきた印象では、沖縄ではむしろチュウジシギの方に明らかに(しばしば驚くほどの)淡色傾向があり、なるほどこれではオオジシギと混同されそうだと思うような例が多い。実際本州の一般的なチュウジシギより明らかに淡色で、かつ尾羽がしっかり撮られていて、体型等も併せて明確にチュウジシギとわかる例がいくつもあるのだから、沖縄のチュウジシギ(というか中国なども広く同様の傾向があるのではと思うが)にこの傾向があることは疑いようがないだろう。ということはなおのこと、沖縄でのオオジシギの識別は殊の外慎重さを要することになる。チュウジシギの大きさ・体格に関しても、ハリオシギに接近した小柄なものからオオジシギに近いものまでかなりの幅があるので、大きいからオオジシギと単純に言えないことはもちろんである。また写真に写らない要素として、声や行動ということが言われることもあるが、これらも大よその傾向としては言われていても識別の主たる根拠としての有効性については相当慎重に考えなければならない。例えば同一個体のチュウジシギの声が「グェ」と重く濁って聞こえたり、「キュェ」等と軽く聞こえたりということは私自身何度か経験している。水に入って採餌するチュウジシギや、畦上で採餌するタシギ―といった状況も確かに典型的ではないが、かといって特に珍しいわけではない。

もちろん私は沖縄にオオジシギが渡来していないと主張しているわけではない。たまたまそれとわかる画像に出会っていないだけかもしれないし、「いない」ことを証明することはそもそも不可能だからだ。しかしいずれにしても、沖縄のチュウジシギの傾向やこれまでの経緯を鑑みると、今後もし本州のオオジシギと外見上寸分違わぬ個体が撮影された場合ですら、よほどしっかりとした証拠写真が撮られていない限りある程度は厳しい目で見ざるを得ないだろう。ちなみに私もいつかは沖縄でジシギ観察をしておきたいという希望は以前からあるにはあったが、残念ながら諸般の事情から当面実現できる目途は立っていない。それまでに納得のいく“沖縄のオオジシギ”の画像が出てくるかどうか楽しみに見ていきたいし、またこれはと思う画像等をもしご存知の方がいれば是非とも教えていただければと思う。

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オオジシギ  Gallinago hardwickii  幼羽→第一回冬羽 2011.9.12 神奈川県
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by Ujimichi | 2011-09-17 21:37 | 沖縄のオオジシギ?


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