人気ブログランキング | 話題のタグを見る


2012年 04月 19日
同一個体Ⅱ
今月1日のエントリで、銚子と皇居で撮影した同一個体のアメリカセグロカモメを紹介したが、早くもそれに続く第二弾、今度はカナダカモメで同一個体が撮影されていたことがわかった。この冬知り合った高校生(当時)バーダー、森田佑介君より、「2月28日に皇居で撮影したカナダカモメ第2回冬羽が、氏原さんが銚子で同月13日に撮影したものとよく似ている。虹彩、顔つき、嘴と初列風切のパターン、頭部の斑、三列風切の模様などがほぼ一致しているように思う。」―という旨の大変興味深いメールを先日頂いた。そこで早速HDDの2月13日銚子のフォルダから同じ向きの画像を拾い出し、メールに添付されていた皇居の画像と並べてみた瞬間に「あっ!!」と息を呑んだ。全体を一瞥する限りは撮影条件がかなり違うのでわかりにくいものの、比較的個体の特徴が出やすい三列風切や大雨覆を詳しく見ると、確かに細かい虫食い斑の一つ一つが見事に一致している。

同一個体Ⅱ_a0044783_541198.jpg
カナダカモメ Larus thayeri  2012.2.13 千葉県銚子市 撮影:氏原道昭 (上), 2012.2.28 皇居 撮影:森田佑介 (下)

同一個体Ⅱ_a0044783_5412694.jpg
カナダカモメ Larus thayeri  2012.2.13 千葉県銚子市 撮影:氏原道昭 (上), 2012.2.28 皇居 撮影:森田佑介 (下)
ここでは比較的わかりやすそうなポイントを拾い出して番号をつけてみた。特に第2回冬羽の模様は複雑な上に個体差が大きいので、ここまで多数の特徴が別個体で偶然に一致することは考えにくく、同一個体と見て間違いないだろう。それら各模様の角度や太さ・濃さ等の若干の違いは、撮影角度による歪みや光線状態の影響と見て十分差し支えない範囲といえる。また三列風切上部については28日の画像では乱れが激しく状況がわかりづらいので比較の対象外とした。下に番号を入れる前の画像も貼っておく。

同一個体Ⅱ_a0044783_5412222.jpg
カナダカモメ Larus thayeri  2012.2.13 千葉県銚子市 撮影:氏原道昭 (上), 2012.2.28 皇居 撮影:森田佑介 (下)

前に紹介したアメリカセグロカモメに続き、これで銚子と皇居がまた一つ新たな線で結ばれたことになる。この個体は銚子で私が観察したのはこの2月13日の一回きりなので、これもやはり銚子に出現後比較的早々に東京湾方面へ移動したのかもしれない。カナダカモメやアメリカセグロカモメは数が少ないために同一個体が現れた場合に特定しやすいが、これがセグロカモメとなるとさすがに数が多すぎて一見わかりづらいだけで、実際はかなりの数が銚子と皇居/東京湾を行き来している可能性がより高まったといえるとも思う。最後に興味深い観察と共に画像を提供していただいた森田君に感謝します。



以下参考画像:

同一個体Ⅱ_a0044783_5413251.jpg
カナダカモメ Larus thayeri 第2回冬羽 2009. 2. 28  千葉県銚子市 撮影:氏原道昭
3年前の同時期に撮影したカナダカモメ第2回冬羽。撮影年を度外視しても今回のものと別個体ということは一目瞭然。雨覆の模様はずっと細かく、各羽の先端部が幅広く白いのも目立つ。胸部の斑もより一様に潰れた印象が強い。

同一個体Ⅱ_a0044783_5413725.jpg
カナダカモメ Larus thayeri 第2回冬羽 2009. 2. 28  千葉県銚子市 撮影:氏原道昭
同年撮影の別個体。換羽の進行がかなり早い個体で、雨覆にも灰色部が及んでいる。こちらも大雨覆の模様は今回の個体より細かい。顔から胸の斑はやや疎らで白っぽく見える。



by Ujimichi | 2012-04-19 05:56 | カナダカモメ


<< 春ジシギ探し 今日の >>