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2012年 07月 02日
未来へ
この前の件について、私のコメントも消えてしまったので、その背景でどうしても伝えておきたい点だけ少し補足しておきたい。

バンディング(標識調査)に関しては昔から批判的意見もあるため、それへのリアクションとしてバンダ―側が調査の正当性を強調しようとするのは至極当然のことであると思う。ただその際に、どうしてもついつい比較対象として野外観察や撮影を下に見るような言い方に陥ってしまう傾向が昔から間々見受けられ、無論一番極端な例ではあるが、中には相当口汚くこき下ろし、まるで野外観察を全否定するかのような言い方すらも実は過去に何度か目にしたことがある。またその一方ではバンダ―が意外に識別等に関して基本的なことを知らなかったり、間違った発言をしていて驚かされるという状況も時折経験してきた。

そのため私としても、バンディングの可能性に一部では興味も持ち、恩恵を感じる部分も多々あり、情報提供などの面で協力したいと思うこともあり、また友人の中にもバンダ―がいる一方で、どこかでバンディングに対して強い不信感を持ち続けてきたのは正直なところである。そういった経緯があって、今回たまたま出くわしたサイトのバンダ―さんお一人に、結果的にそうした積もり積もった思いを一気にぶつけるような形になってしまったことに関しては大変申し訳なかったと思っている。

というわけでこうした負の連鎖を断ち切るためにも、バンダ―及び推進側の方にぜひお願いしたいのは、従来型のいわゆる「野外ではわからない」式の比較論法に頼るのではなく、むしろ「野外観察や撮影と連携することで今後こんな面白いことがわかってくるかもしれませんよ。よろしければぜひご協力いただけませんか?」というような前向きなアピールの仕方に切り替えることだ。デジタル写真によって標識鳥が確認される機会が増えていることもあり、現に大勢ではこうした方向に向かいつつあるとは思うが、未だに「あれ?」とついつい引っかかってしまうような表現に出くわすことがたまにあるからだ。もちろん私としてもできる限り公平な目でバンディングの功績や問題点を捉え、協力できそうな点では協力していきたいとも考えているので、ぜひその辺りはよろしくお願いしたいと思う。

下の画像は昨年11月に多摩川で観察したユリカモメ第2回冬羽。嘴と足が深紅ではなく橙色を帯びるこのタイプの個体は第2回冬羽と識別してきたが、この標識によりその妥当性を改めて確認することができた。我々野外観察者にとっても、目の付け所や力量次第では、まだまだ標識鳥から様々な情報を読み取り活用できる可能性を秘めているように思う。

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ユリカモメ Chroicocephalus ridibundus
by Ujimichi | 2012-07-02 11:46 | カモメ


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