2012年 07月 19日
再び“沖縄のオオジシギ?”について
ジシギシーズンということで、“沖縄のオオジシギ?”の件について、昨冬カモメシーズンで忙しくて書ききれなかった点を少し追記。

a0044783_19475246.jpg“沖縄のオオジシギ”とされる画像を掲載しているサイト等でよく言われる、「朝鮮半島や大陸のオオジシギは北海道や本州のものと異なり小さくてチュウジシギに似ている」というような説?だが、これを明確に裏付ける根拠と思えるものは私は今のところ見たことがない。一つ挙げられている、「日韓共同鳥類標識調査2007」の報告ページには、韓国でのバンディング調査時の話として、「特筆すべき事項として、尾羽の枚数からオオジシギと同定された個体の測定値が日本産のものよりかなり小さいこと」という一文が確かにあるが、しかしながらこれではその個体が本当に「小さいオオジシギ」だったのか、逆に「尾羽枚数の少ないチュウジシギ」だったのかは全く判断のしようがない。

もちろんジシギ類の識別において尾羽枚数はそれなりに重要だが、しかし実際には種間のオーバーラップなどの問題があるため過信は禁物。特に「20枚だからチュウジシギ」という判断はまだ比較的問題は少ないと思うが、「18枚(または16枚)だからオオジシギ」という判断に関しては、脱落や重なりの問題も絡んでくるので相当な慎重さを要する。まして写真もその他の特徴の情報もなく、しかも測定値が小さかったというこの一文から、端からその個体が間違いなくオオジシギだという前提で推論を展開すること自体にだいぶ無理があるし、むしろこの報告ページの一文自体も、落ち着いてよく読めば同定にいくらか含みを残した、或いは言外に若干の疑問を匂わすニュアンスがあるようにも受け取れる。何よりもあまりにも情報としては断片的すぎるし、この一例から朝鮮半島のジシギ類全体の傾向をも推し量り、ましてや沖縄での識別にまで援用しようとするのはさすがに拙速で飛躍が大き過ぎると感じざるを得ない。

とりあえず今のところ言えるのは、大陸・朝鮮半島・沖縄において、「チュウジシギが(淡色傾向のため)オオジシギに似ている」ことを示す画像等は多々見受けられるが、それに対して逆に「オオジシギが(サイズが小さくて)チュウジシギに似ている」ことを明確に示すものは私の知る限り出てきていない―ということ。もちろんジシギに限らず、「よく知られていない地域変異がある可能性」というのは一応念頭に置く必要はあるが、しかしそれを実際に解明するのはある程度まとまった数の確実性の高いサンプルを基に比較検討しなければ成し得ないこと。あまり断片的な情報や想像に基づいて拙速に全体を判断することは無用な混乱を招きかねないので、この辺はくれぐれも注意したいところだ。

※上の画像はオオジシギ幼羽→第一回冬羽 2011. 8. 23 埼玉県
[PR]
by Ujimichi | 2012-07-19 20:51 | 沖縄のオオジシギ?


<< 新たな尾羽画像 藪雌 >>