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2013年 01月 19日
雑種は雑種
昨日の話の続き。

雑種は雑種_a0044783_1482185.jpg例えばアメリカヒドリ×ヒドリガモの雑種のことを、「アメリカヒドリ(交雑種)」とか、「このアメリカヒドリは交雑種のようです」といった書き方を以前からよく見かけるが、雑種は雑種であってアメリカヒドリそのものではないので、この書き方は不正確だし意味も今一つよくわからない。他によくある「アメリカヒドリの雑種」というのは善意に解釈すれば「アメリカヒドリの関わった雑種」の短縮形?みたいにも思えなくもないし、フィールドでの立ち話で便宜上出てくるくらいならいいと思うが、やはりこれも曖昧でわかりにくい表現だと思う。

これが例えばタイミルセグロカモメ (taimyrensis)やアイスランドカモメ亜種kumlieniのように、そのタクソン自体が種なのか亜種なのか、交雑個体群なのかが諸説あるものだとか、または雑種なのか個体差の範疇なのか微妙な例であれば、人により色々な書き方が出てきてしまうのもある程度仕方がない面はある。しかし少なくともよく見られるアメリカヒドリ×ヒドリガモや、今回の瓢湖のメジロガモとされた個体のように、雑種であることが明白なものについては、やはり両親の種の名前をきちんと併記して、「アメリカヒドリ×ヒドリガモ」「メジロガモ×ホシハジロ」などとするべきだろう。

ところで件の瓢湖の雑種、今日は新潟日報にまたしてもメジロガモとして掲載された。雑種という至極当たり前な指摘は発見当初から多々あるにもかかわらず、なぜかその点には一言も触れられていない。掲載の小さな画像だけ見ても雑種の特徴は明白に表れていて、私の感覚では本来議論の対象にすらならないはずのものなので、この扱いは何とも不可解。郷土の鳥に興味を持ってもらいたいというのはいいと思うのだが、それにしては貴重な雑種を紹介するせっかくのチャンスを無にしてしまっているのは随分ともったいない印象を受ける。


※画像はアメリカヒドリ×ヒドリガモ。
by Ujimichi | 2013-01-19 15:06 | カモ


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