2013年 06月 21日
続・ムラサキサギ
昨日ちょっと触れた、京都でムラサキサギとして朝日新聞に載ったアオサギについてだが、ちょっと思い当たるところがあって、気象庁のサイトから、発見された当日の現地付近の降水量を見てみると、ちょっと興味深いことが分かった。

まず件の朝日新聞の記事によると、当該個体が発見されたのは6月15日午後5時半過ぎ。そこで現場の城陽市のすぐ南の京田辺市の気象データを見てみると、午後3時に11.5㎜というかなりの雨が降っている。その後も午後4時に6.5㎜、午後5時にもまだ3.0㎜の雨が降っている。またこの6月全体のデータを見ると、1日~18日まで軒並み「降水量0」の日が並んでいるが、その中で15日の、しかも当該個体が発見された約2時間半前に限って11.5㎜というまとまった雨が降っているのだ。ちなみに10㎜以上の雨というのは、傘をさしていても跳ね返りで裾が濡れるとか、話が聞き取りづらいくらいだそうなので、すぐに災害の心配をするほどではないにしろ、そこそこ強い降り方のようだ。

実は今回の朝日新聞の画像を最初に見た段階で、羽色が通常のアオサギより暗く見えるのは単なる「水濡れ」ではないか?というのが私が受けた第一印象。とするとひょっとしてその日にかなり雨が降ったのではないか?と考えられ、そこから上記の気象データを調べることを思いついたのだが、結果は予想以上のドンピシャだった。

鳥は通常、羽繕い時に尾の付け根の脂腺から出る脂を全身の羽毛に塗りつけることで水をはじいているため、見た目の印象が大きく変わるほどのずぶ濡れにはそう簡単にはならない。しかし何らかの理由でその機能が上手く働いていない場合(例えば脂の分泌が悪いとか羽繕いが十分にできていない、または極端な大雨の場合など?)には、羽毛に雨が浸み込んでしまい、特に灰色や褐色などの部分が通常よりはるかに暗色に見えてしまうということがある。この色の変化は、例えば乾いた砂地に水を撒くと全く違う暗い色に変化するのと同じ理屈だろう。

というわけで問題の個体は羽毛の質感と、腹などの白い部分に目立った汚れなどがないことからも、汚れや黒化ではなく「濡れ」と考えるのが妥当ではないかと思う。もちろん水に限らず、透明な油など他の液体による汚染でも似たような見た目になることは考えられるが、ただ今回の場合は先述の気象条件も併せて考えると、やはり雨による濡れの可能性が最も高いように思う。

特に新聞紙上などでは珍鳥発見や繁殖生態といったわかりやすい話題が注目されがちだが、実はこうした誤認例の原因や背景を探っていくことで色々なことを発見し学ぶことができるのも、野鳥観察の奥深さの一つではないかという気がする。なお下の画像は引き続き昨年石垣島撮影のムラサキサギ。

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ムラサキサギ
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by Ujimichi | 2013-06-21 16:29 | 石垣島


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