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2008年 04月 28日
カモがアサリを食べつくす!?
a0044783_12594869.jpg先日ある方からメールを頂いて初めて知ったのだが、福島県相馬市松川浦で、「潮干狩り用のアサリをカモが食べ尽くした」という報道があったようだ。その方はテレビのニュース番組でこの件が報道されているのを見たそうで、その中で「あっ、カモがいました!」と映し出されたのはヒドリガモだったとのこと。また、福島中央テレビのサイトを見ると、「相馬市と漁協が、松川浦に飛来するマガモやヒドリガモを捕獲し、調査したところ、ほとんどのカモの体の中から、アサリの貝殻が、採取されました。」とも書かれている。その他「松川浦 カモ アサリ」などのキーワードで検索するとこの件に関する報道やブログ等がある程度出てきた。

もちろんこの件については私は現場の状況をよく知らないわけだし、カモの食性についても「全て」を把握しているわけではない。ただ、私の中ではヒドリガモというと川岸の土手に上がって青草を食んでいるとか、干潟ではアオサのようなものをついばんでいる状況、もしくは公園池で人にパンをもらっている状況など、つまり植物を食べている状況ばかりが記憶にあり、これまでアサリを食べるという認識はなかった。ましてヒドリガモやマガモが大量のアサリを「食べ尽くす」などということが本当にありえるのか?というとやはりちょっと首を傾げざるを得ない。メールを下さった方も同様の疑問を呈しておられた。

また、鳥には砂のうという器官があり、ここに食物と一緒に小石などを飲み込んで消化するという習性がある。もちろん私はこうした鳥の体の内部のことについては全く詳しくないのだが、「アサリの貝殻が体内から見つかった」というのも、本当にそれで「アサリを食べ尽くした」という根拠になるようなものだったのだろうか?という疑問は沸いてくる。一方、スズガモなどは確かに潜水して貝類を食べるが、昔から国内に沢山渡来しているスズガモが、今年に限って突如アサリを食べつくすような特異な渡来状況が果たしてあったのかどうか?については慎重に検証されるべきだと思う。

もちろんアサリを生活の糧とされている方々にとっては一刻も早く何かしらの対策が望まれるところだとは思うが、しかしもしも仮にカモが「濡れ衣」で駆除されるようなことがあると、単にカモ自身が気の毒だというだけでなく、何よりも肝心のアサリの回復にとっても一向に効果が上がらないということにもなりかねないわけで、ここはやはり他の生物や、環境のちょっとした変化などのあらゆる可能性を視野に入れた上で、冷静にアサリ減少の原因を考えることが必要だと思う。私もこの件を通して初めて知ったのだが、アサリについてはサキグロタマツメタという外来種の貝による食害が深刻だそうで、この辺との関連がどうなのだろう?というのかもかなり気になるところだ。ある生物の増減の原因というのは、実際は複雑で簡単には決め付けられないことも多いと思うし、マスコミもカモの種類も食性も考慮せずに「カモがアサリを食べ尽くした」と拙速に決め付けたような報道するのではなく、極力立場の異なる複数の機関に取材をするなどして慎重な対応をしてほしい。ともかくこの件については幸い地元の日本野鳥の会相双支部が取り組んでいるようなので、そちらの動きに期待したいと思う。

※上の画像はアオサを食べるアメリカヒドリ 2007年12月9日 千葉県船橋市で撮影
by ujimichi | 2008-04-28 11:24 | カモ


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