カテゴリ:コスズガモ( 18 )

2017年 12月 06日
「フィールド図鑑日本の野鳥」のコスズガモについて
先頃出版された「フィールド図鑑日本の野鳥」は、国内では30年ぶりのイラストによる野鳥のフィールドガイドということで話題を集めているが、内容に関しては不正確な点や古い知見が更新されていない点などを指摘する声をかなり耳にした。私は少し遅れて手にしたが、やはりその辺りは事前に聞こえてきていた通りの印象。あれもこれもと言及するときりがないので、ひとまずここでは、個人的に出版前から気になっていたコスズガモに絞って感想を書いてみたい。

まずコスズガモについて真っ先に指摘しなければならないのは、「スズガモより頬部が膨らんで見える」というこの図鑑の説明は明らかに誤りであるということ。この“識別点”は、同解説者の方が1998年の写真図鑑から一貫して同様のことを書かれているもののようだが、実際にはスズガモ、コスズガモ共に状況により大きく変化する特徴であり、種の識別点には全くならない。下の写真のカモは全てスズガモだが、これを見ても、「頬が膨らんで見える」のがコスズガモに限った特徴でないことがたちどころにわかるだろう。※

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さらに下の写真は同一個体のコスズガモを同日内に撮影したもの。状況により頬の膨らみがいかに変化するかを見て頂きたい。
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今回この図鑑で、この“識別点”がイラスト入りで改めて強調して解説されてしまったことは残念でならない。コスズガモはまだしも、スズガモは東京湾で千~万単位の大群が越冬する普通種。少しその気で観察すれば、矛盾に気づくのはさほど難しいことではないと思うのだが。

もう一つわかりづらかったのが、解説本文の頭の形の記述。「後頭部が膨らんで見える」とあり、これが「前頭部より後頭部が高い」というコスズガモの特徴のことを指しているらしい(?)と気付くまでに、私はかなり時間がかかった。「後頭部が膨らんで見える」だと、カワアイサの雄のように後方に膨らむ形状を想像してしまったからだ。この点は読み手によっても個人差はあるかとは思うが、どのくらいの割合の読者がこの文からあのコスズガモの頭の形状をイメージできただろうかという気はする。そして後頭部が高いだけでなくごく小さな突出部があることや、後頸にかけての輪郭が直線的に見えることへの言及はない。

さらにこの図鑑では、コスズガモの重要な特徴である翼帯の色について触れられていない。イラストでは描き分けられているが、一言の説明も矢印もなく、これでは予めその特徴を知っているか、かなり観察力に長けた人でないと違いを読み取るのは難しそうだ。この図鑑について「ベテランから見れば間違いはあるが、初心者が持つにはいい」といった意見も聞くが、こうした重要な点に触れていないのは初心者にはむしろ不親切で使いづらいのではと感じてしまう。同様のことがサイズについても言え、「スズガモより小さい」ことが書かれていないので、和名と全長から小さいことを読み取らなければならない。

そして雌については「頭部は茶褐色で光沢はない」としか書かれておらず、種の識別に役立つ情報は一言も書かれていない。これも初心者はイラストから何とか読み取る以外に方法はなく、ここでもむしろ初心者に優しくない図鑑との印象を受けてしまった。しかも、このコスズガモの解説の下には、もう一種分解説が入りそうなほどの大きな余白が残されている。これだけの余裕があって、なぜ最小限の重要な特徴さえ解説されていないのだろうと思うと本当に残念でならないし、しかもその一方では最初に書いたように、「頬の膨らみ」という誤った識別点がイラスト入りで解説されているのは理解に苦しむ。

今回はあえてコスズガモに絞って書いたが、この図鑑に広く目を通すと、大なり小なりこのコスズガモと類似した問題点があちこちに散見される。私も識別に関心の強い絵描きの一人として、本来ならイラストによるこうした図鑑は応援したいところだが、残念ながら安心してお勧めできる内容とは言い難いのが正直なところだ。この図鑑についてはすでに多くの方がご意見を述べられているが、気付いた問題点はこうしてそれなりにきちんと一般に告知していく必要はあるように思う。

※興味深いことに、2015年にHELM社から出版されたReeber著“WILDFOWL”には「スズガモの方が頬が膨らむ」という、全く真逆の記述とイラストがあり、これも状況による変化を種の特徴と誤解した結果ではないかと考えている。

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by Ujimichi | 2017-12-06 20:00 | コスズガモ

2013年 12月 03日
コスズガモ♂
昨日は東京のコスズが遠くなっていつまでも近づかないので、諦めて埼玉のコスズに移動。同一個体だけど。(笑) ついでに東端部まで見て回ってヒドリガモは421羽カウントしたのにアメリカヒドリは見つからず。どこへ行ったのか? 

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コスズガモ Aythya affinis 


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by Ujimichi | 2013-12-03 09:16 | コスズガモ

2013年 11月 19日
コスズ不在
昨年12月18日にコスズガモ♀を見つけた場所へ再会を期待して行ってみたが、残念ながらハズレ。ちょっと行くのが早かったか?それとも今年は来ないのか?

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キンクロハジロ

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キンクロハジロ

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ホシハジロとスズガモ

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by Ujimichi | 2013-11-19 16:28 | コスズガモ

2013年 10月 31日
今年は?
今日は10月最終日。昨年12月の画像からコスズガモ♀を1点。この日以来行っていないので今年は来てくれるのかどうかもわからないが、過去の経験では他のカモより少し遅れて11月から出現率が高まるので、できれば来月中に一度確認に行きたいところ。

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コスズガモ♀ Aythya affinis
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by Ujimichi | 2013-10-31 19:14 | コスズガモ

2013年 02月 24日
逃亡中?
コスズガモはいなくなってしまったようだが、渡去にはちょっと早いし、果たしてどこへ行ったのか?ところで―

a0044783_19405728.jpg1.背中が縞模様なので識別できる。
2.頬が膨らんで見えるのが特徴。
3.次列風切が白いのが特徴。
4.顔の光沢が紫、スズガモは緑。

今回コスズガモの特徴として、ネット上ではよくこんなことが書かれていたが、これらはもちろん全て間違っている。まず1ではスズガモとの区別がついていないことになるし、2は何度も書いているように全くの誤り。3は「次列風切だけが白い」または「初列風切が白くない」と言わないと意味が違ってしまう。4は紫が「出やすい」だけで、両種とも光線状態次第で容易に紫にも緑にもなる。

このような誤った、または不正確な特徴があちこちでそのまま書かれている現状から察するに―珍鳥と聞いて現場に駆けつけ、「どれですか?」と先客に教えてもらい、ひたすら写真を撮り、あとは図鑑やネットで読んだ、或いは人から聞いた特徴を書き添えて出来上がり―という感じの人がやはり多い印象を受ける。

もちろん特に初心者にとって、図鑑等から基礎的な知識を得ることはまず必要なので、その勉強過程としてはこれでもいいのかもしれないし、また引用には引用の役割ももちろんあると思うが、とはいえただ撮った画像に受け売りの知識を添える作業の繰り返しだと、実際のところなかなか観察力の向上や正しい理解にはつながらないと思う。何しろ時には図鑑に書いてあることが間違っている場合だってあるのだから。

そこでせっかくわざわざ現場に出向いたのなら、少々稚拙でも、また多少は間違いがあっても、自分の目にはどう見えたのか、どう感じたのかという素直な感想を自分の言葉で書く努力をする方が、正否をよく確認もせず闇雲に受け売りだけを並べるよりは、自分の目で対象を観察する力が養われていく可能性がまだあるように思う。それには何よりも現場で周囲の普通種も含めてよく見た方がいいし、もし撮影主体にするにしても、せめてせっかく撮った画像はよく見返すなり他種の画像と比べるなどして、ぜひとも後々の理解のために有効に活用してみてほしいと思う。

ついでに書くと、あちこちで盛んに書かれていた「観察難易度9」というのはあるweb図鑑サイトからのコピペでしかなく、少なくとも関東に限って言えばそこまで珍しい鳥ではない。「関東では7年ぶり」というのも、もちろん単に情報が流れて人が集まったのが久ぶりというだけ。実際は近年も毎年どこかに少数が渡来していると考えていいだろう。また最後に冒頭の4の頭部の光沢についてちょっと補足すると、Collins Bird Guide 2nd editionでは「more purple than green sheen」という具合に比較級を用いて書かれていて、一見何気ない最小限の短文ながら、ここはさすがよく解った上での的確な表現だと思う。
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by Ujimichi | 2013-02-24 19:59 | コスズガモ

2013年 02月 21日
前向きな暇つぶし
一昨日の画像から。なにしろコスズガモがあまりに動かないので、暇つぶしにしばらくこんな画像を撮っていた。見ての通り、カモ類は首をすくめて休んでいれば、もれなく頬が膨らんで見える。

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by Ujimichi | 2013-02-21 16:10 | コスズガモ

2013年 02月 19日
コスズガモ
「午後2時から晴れ」という天気予報にすっかり騙されて昼から行ってきた。小雪混じりの曇り空で風も強い中、最初はそれでも首をすくめてじっと浮いていたが、そのうち嘴を背中に回して寝始めるともはやほとんど動きがなくなり、たまに一瞬顔を上げてはまた寝る程度。そんなわけであまり動きのあるところは撮れず時間切れで帰ってきたが、それでも距離が割に近かったのと、悪天候で人が少なかった(5-6人程度)のはとりあえず良かったっかな。

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コスズガモ Aythya affinis

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コスズガモ Aythya affinis

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コスズガモ Aythya affinis
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by Ujimichi | 2013-02-19 21:21 | コスズガモ

2013年 02月 17日
膨らむのは皆同じ
やはりこのところコスズガモの検索で来られる方が多い。それにしても、未だに何かの受け売りで、頬が膨らむのをコスズガモの特徴と書いているブログ等をよく見かけるのは困ったものだ。というかそれだけで、普段いかにスズガモやキンクロハジロといった普通種をちゃんと観察していないか、また自分自身の目で特徴の有効性を検証・確認する意識がないかがよくわかってしまう。実際はもちろんリラックスした状態で頬が膨らんで見えるのは、スズガモやキンクロハジロなど他種でも同様で、何故これが特徴と言われ出したのかは未だに謎。なお当ブログのコスズガモ関連のエントリはこれまで「カモ」のカテゴリーに入れていたが、「コスズガモ」のカテゴリーを新設してそちらにまとめて移動しておいたので、近年の私の観察例をご存じない方はぜひ。

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スズガモ Aythya marila 2008年10月17日 千葉県船橋市
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by Ujimichi | 2013-02-17 23:22 | コスズガモ

2012年 12月 22日
寝姿
先日のコスズガモ画像から一枚。見つけた時はこんな角度で寝ていた。

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コスズガモ Aythya affinis と キンクロハジロ Aythya fuligula 3羽

ところでこの冬新潟でメジロガモとされている雌個体はNHKのニュースでも紹介されたらしく、ネット上でも未だにかなりメジロガモで通ってしまっているようだが、嘴のパターンと体の虫食い斑の組み合わせから明らかにホシハジロとの雑種。
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by Ujimichi | 2012-12-22 23:02 | コスズガモ

2012年 12月 19日
コスズガモ♀成鳥
この冬は東京、神奈川と場所を変えて探していたコスズガモだが、昨日千葉県の数百羽のキンクロハジロの群中にやっと♀成鳥1羽を見つけた。頭の尖りがさほど顕著な個体ではないのと、その前にキンクロハジロ×スズガモの雑種♂を見つけてそちらを注目していたこともあって、発見までにはだいぶ時間がかかってしまった。しかも見つけたはいいがほとんど寝てばかりで、翼のパターンを撮るまでは帰れないのでだいぶやきもきさせられたが、2時半頃にようやく動き出し、3時前にやっと羽ばたきを数回撮ることができた。

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コスズガモ Aythya affinis ♀成鳥  2012. 12. 18 千葉県

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コスズガモ Aythya affinis ♀成鳥  2012. 12. 18 千葉県

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コスズガモ Aythya affinis ♀成鳥  2012. 12. 18 千葉県

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コスズガモ Aythya affinis ♀成鳥 (右はキンクロハジロ♀成鳥) 2012. 12. 18 千葉県 

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コスズガモ Aythya affinis ♀成鳥  2012. 12. 18 千葉県

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コスズガモ Aythya affinis ♀成鳥  2012. 12. 18 千葉県
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by Ujimichi | 2012-12-19 16:44 | コスズガモ